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牛群再構築の遅れから牛飼養頭数の減少止まらず(米国)

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 米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)は1月31日、最新の米国の牛飼養動向に関する報告書を公表した。これによると、2025年1月1日時点の牛総飼養頭数は、8666万2000頭(前年同月比0.6%減)と減少し、6年連続で前年を下回った(図1)。
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 米国の飼養頭数は、干ばつの影響による繁殖雌牛の淘汰(とうた)が進んだことで、1951年以来の最低水準となっている。内訳を見ると、繁殖雌牛(肉用)が同0.5%減の2786万頭、未経産牛(肉用)が同1.0%減の467万頭、去勢牛が同1.0%減の1580万頭と、いずれも減少している(表)。
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 現地報道によると、肥育牛価格が高値で推移する中、当面の現金収入を必要とする生産者が多く、牛群再構築に向けた未経産牛の保留に繋がらない状況とされている。今後も牛群再構築の目途が不透明であることから、26年にかけても飼養頭数の減少を予測する声もある。
 米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によると、牛群の縮小が続く中で米国内の堅調な牛肉需要から、直近24年12月の肥育牛価格は100ポンド当たり194.63米ドル(1キログラム当たり667円:1米ドル=155.43円(注)、前年同月比13.5%高)、24年平均では同185.14米ドル(同634円、前年比7.0%高)と高い水準で推移している(図2)。
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(注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2025年1月末TTS相場。 

 こうした状況を踏まえUSDAは、25年の牛肉生産量について、飼養頭数の減少に伴うと畜頭数の減少により前年を下回る1169万8000トン(前年比4.4%減)と予測している。また、同年の牛肉輸出量についても国内の牛肉生産量が減少する中、前年比13.4%減の117万7000トンと予測している。

 
【伊藤 瑞基 令和7年2月5日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:伊藤 瑞基)
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