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感謝祭の七面鳥需要は減少し、価格も下落(米国)

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七面鳥の生産と消費状況など

 米国農務省(USDA)によると、2024年1月から12月までの七面鳥の生産量は、232万2800トンと23年の同時期と比較して6.2%減少した。これは、ひなの導入羽数減少や平均出荷体重の減少によるものとされる。また、24年12月には、高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)の影響などにより(図)、約9万4000羽の七面鳥の種鳥と約147万6000羽の肥育鳥が処分されたことに加え、価格下落などから生産者の生産意欲が下がり導入羽数もさらなる減少が見込まれていることから、25年も引き続き生産量の減少が予測されている。
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 冷凍七面鳥(丸鶏)の卸売価格については、23年1月に前年同月比33.9%高、パンデミック前の19年の同月比では112.5%高(約2.1倍)と記録的な高値に達した。しかし、24年の同価格は平均で前年比約33.1%安となり、19年以来の最低水準となっている。
 米国の感謝祭(11月第4木曜日)の伝統的なメインディッシュといえば七面鳥であるが、通常、消費者は七面鳥の丸鶏を年1度のこの時期にしか購入しないため、11月の感謝祭からクリスマスまでの期間が需要のピークとなる。しかし、現地報道によれば、23年までの価格高騰やインフレによる生活防衛の動きから、他の食肉(鶏肉)に需要がシフトしつつあり、七面鳥を消費しないことが新たな習慣として定着しつつあるとされている。このような状況を背景に、感謝祭シーズンに向けた小売店などでの七面鳥(丸鶏)の広告掲載割合も大幅に減少しており、さらに丸鶏の消費減につながっている。
 こうした国内消費の減少が続く中で、七面鳥の丸鶏を扱うアメリカ最大手企業の一つであるバターボール社は、25年2月にアーカンソー州ジョーンズボロにある工場を閉鎖することを発表した。この工場では、調理済の七面鳥のムネ肉の製造を専門としている。当該工場での生産はほかの施設に移転される予定である。
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輸出状況 

 七面鳥の輸出量は、2010年の26万3700トンから23年は22万2200トン(15.7%減)と減少傾向にある。USDAは、為替相場を考慮した場合、主要輸出市場であるメキシコ向け以外では競争力がないと分析している。
 このような状況の中でアメリカ家禽鶏卵輸出協会(USAPEEC)は、需要拡大のためのプロモーションを世界各地で実施しており、例えば日本では、日本在住のイタリアンシェフがUSAPEEC提供の七面鳥を使った調理動画をYouTube上に投稿しているほか、レシピ投稿サイトやイベントを通して米国産七面鳥の紹介を行っている。
【調査情報部 令和7年2月6日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-9805