畜産 畜産分野の各種業務の情報、情報誌「畜産の情報」の記事、統計資料など

ホーム > 畜産 > 海外情報 > 2025年 > HPAIワクチン未接種のフランス産家きん輸入を再開(米国・カナダ)

HPAIワクチン未接種のフランス産家きん輸入を再開(米国・カナダ)

印刷ページ
 米国とカナダは2025年1月16日、フランスからの高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)ワクチン未接種の生きた家きんおよび家きん由来製品に関する輸入の再開を発表した。両国は23年10月1日以降、フランスでアヒルに対してHPAIワクチンの接種が義務付けられたことに伴い、同国から家きんおよび家きん由来製品の輸入を停止していた。米国農務省動植物衛生検査局(USDA/APHIS)は、1月27日より適用を開始するとしている。

フランス産家きんの輸入停止の経緯

 フランス農業・食料主権省は2023年10月1日、250羽以上のアヒルを飼育し、肉またはフォアグラ用にアヒルを販売する農場について、商業用の肉用アヒルおよび一部の繁殖用アヒルへのHPAIワクチンの接種を義務付けた。これによりフランスは、EUで初めて全国的にHPAIワクチンの接種を行った国となった。
 これに対しUSDA/APHISおよびカナダ食品検査庁(CFIA)は、ワクチンを接種した家きんはHPAI感染の兆候を示さない可能性があることから、ワクチン接種後の家きんにウイルスが存在するかどうかの判断が困難として、同日以降、フランス産家きんおよび家きん由来製品(注1)の輸入を停止していた。また、EUおよび欧州自由貿易連合(EFTA)諸国(注2)からの家きんおよび家きん由来製品についても、フランス産家きんおよび家きん由来製品が欧州市場を経由して輸出が行われる可能性があるとして輸入を停止していた。
 (注1)家きんはふ化用卵を含む。家きん由来製品は、缶詰など熱調理が行われているものを除く。
 (注2)アイスランド、スイス、リヒテンシュタイン、ノルウェーの4カ国。

フランス産家きんの輸入再開の概要

 輸入再開に際してUSDA/APHISとCFIAは、フランスのHPAIワクチン接種プログラムのリスク評価を共同で実施した。リスク評価では(1)フランスのHPAIワクチンの接種計画と規制の監督状況(2)対象の家きん(アヒル)のみに確実にワクチンが接種されているか(3)家きんおよび家きん由来製品のトレーサビリティ(4)ワクチン接種後の監視方法、などが確認された。
 評価の結果、両機関は以下の家きんおよび家きん由来製品にHPAIウイルスが混入する可能性が極めて低いとして、今回、該当する品目の輸入を再開することとなった。
 
【輸入が再開される品目】
・フランスのアヒル以外の家きん(ふ化用卵を含む)および家きん由来製品
・フランスのワクチン未接種の繁殖用アヒルに由来するふ化用卵
・フランスのワクチン未接種の繁殖用アヒルに由来するアヒル(初生ひなを含む。フランス当局によるワクチン接種状況の追加的な検証および確認が必要)
・EUおよびEFTA諸国のアヒル(ふ化用卵および初生ひなを含む)
・EUおよびEFTA諸国のワクチン未接種のアヒルに由来するアヒル由来製品
 
 なお、ワクチン接種を受けた家きん(同家きんに由来するふ化用卵や初生ひなを含む)および同家きんに由来する製品は、引き続き輸入が禁止される。
【調査情報部 令和7年2月13日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-9533