スポーツイベントに合わせチキンウィングの需要は好調(米国)
米国では、イベントに伴い消費が拡大する食肉があり、一つは感謝祭で食べられる七面鳥であり、もう一つは毎年2月に開催されるスーパーボウルで食べられるチキンウィング(手羽肉)である。
今年のチキンウィング販売も好調
毎年2月上旬の日曜日に開催されるアメリカンフットボールの頂上決戦であるスーパーボウルは、米国最大のスポーツイベントでもある。全米小売業協会(NRF)は、米国人の78%が第59回スーパーボウル(今大会)を視聴し、当日の米国人消費者の1人当たり支出額は91.6米ドル(1万4237円:1米ドル=155.43円(注1))、総支出額は前年から7.5%増の186億ドル(7227億円)に達し、うち飲食費は8割を占めると見込んでいる。
そして、スーパーボウルといえばバッファローウィングが定番である。素揚げしたチキンウィングを甘辛いソースでからめたこの料理は、低価格で、また大勢でシェアしやすいこともあり、スポーツ観戦時のお供として人気の高い食品である。この付け合わせに人気な食材はフライドポテトであり、つぎにカットしたセロリが続いている。
米国の鶏肉消費量は、堅調な国内生産や高値が続く牛肉からの代替需要などを背景に増加傾向にある(図1)。チキンウィングについても、全米鶏肉協議会(NCC)が毎年発表しているチキンウイング・レポートの中で、今大会を観戦するアメリカ人が昨年に比べて1.5%増の14億7000万本のチキンウィングを消費すると予測した。これを並べたら、地球3周を超える距離に匹敵するとされている(図2)。今期のチキンウィング販売は好調であり、今年1月19日までの4週間で、前年同期比12%増、スーパーボウルが行われる会場付近の都市(フィラデルフィア、カンザスシティなど)では、前年同期比15.5%増となった。
チキンウィングの卸売価格は24年1月以降、9月まで前年を3割〜6割ほど上回って高値で推移していたが、その後、第4四半期に入り鶏肉生産が前年同期に比べて増加したこともあり、10月以降の同価格は前年同月比で1割〜2割高ながらも前月比では下落に転じていた。1月第1週の時点の同価格は1ポンド当たり189セント(1キログラム当たり648円)と、好調な需要を背景に、供給が増える中でも前年同月比1割高を維持している(図3)。なお、チキンウィングの1ポンド当たりの卸売価格は、ムネ肉の卸売価格より高値で推移している。
(注1)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2025年1月末TTS相場。
【調査情報部 令和7年2月17日発】
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