鳥インフルエンザの清浄化宣言直後に新たな感染が報告(豪州)
豪州のビクトリア(VIC)州農業省は2025年2月8日、州都メルボルンから北東に約170キロメートルに位置するユーロアの採卵鶏農場で、高病原性鳥インフルエンザ(H7N8型)の発生が確認されたことを発表した(図)。昨年5〜7月に発生した一連の高病原性鳥インフルエンザ
(注1)が収束したことを受け、豪州連邦政府が国際獣疫事務局(WOAH)に清浄化宣言を提出した旨のプレスリリースを2月6日に発出した矢先の出来事となった。
(注1)海外情報「豪州で4年ぶりとなる高病原性鳥インフルエンザが発生(豪州)」をご参照ください。
今回検出されたウイルスの亜型は、昨年感染が広がったH7N3型とは異なることから、新たな感染であると認識されているが、現在まで感染源は判明していない。現在、発生農場は隔離されており、VIC州法である家畜伝染病予防法1994(Livestock Disease and Control Act 1994)に基づき、感染農場の周囲およそ5キロメートルに制限区域が設定され、さらにその外側全域に渡って広域管理区域が設定(注2)されている。
(注2)制限区域は、家畜、畜産物、飼料、車両、物品の域内外への移動を制限しており、罰則規定が設けられている。また、管理区域では、罰則規定はないが家畜、畜産物の移動制限に加え、市場や見本市、競馬などの開催が禁止されている。
豪州連邦政府は、今回発生したウイルスの亜型は世界的に流行・懸念されているH5N1型ではないことを強調して伝えるとともに、鳥インフルエンザ対応計画(AUSVETPLAN Response strategy for avian Influenza)に基づく検疫、家畜の殺処分、廃棄処理、汚染除去などの対応を求めている(表)。
現地報道によると、昨年の高病原性鳥インフルエンザによって推定180万羽の鶏が殺処分された影響は現在も続いており、卵の供給不足が常態化しているとされている。卵の価格も2024年10〜12月平均で前四半期比11.2%高となるなど、羊肉・山羊肉を除く食品カテゴリの中で最も高い値上がりを記録しており、今回の発生でさらなる影響の拡大が懸念されている。
【調査情報部 令和7年2月18日発】
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