ハンガリーの国家フードチェーン安全局(Nébih)は2025年3月7日、飼養されている牛から口蹄疫の感染を確認したと公表した。感染が確認されたのは、スロバキアの国境付近に位置するKisbajcsで1400頭の牛を飼養する農場である(図)。3月3日に口蹄疫の典型的な症状が見られ、同局の研究所で検査したところ6日にウイルスの存在が確認された。ハンガリーでの口蹄疫の発生は、1973年以来となる。
欧州では25年1月10日、ドイツで水牛から口蹄疫の感染が確認
(注)されたが、2例目はドイツ国内を含め今回の発生まで確認されていなかった。
(注)海外情報
「ドイツで1988年以来の口蹄疫が発生、水牛での感染を確認(EU)」をご参照ください。
今回の確認を受け、ハンガリーの主席獣医師官は口蹄疫の感染が確認された発生農場を閉鎖し、疫学調査を開始した。感染経路やウイルスの血清型は3月9日時点で不明。
また、まん延を防ぐため、口蹄疫に感受性のある動物の移動禁止措置などが取られている。発生農場の周囲には制限区域が設けられ、発生農場から半径3キロメートルの保護区域(Protection Zone)と同10キロメートルの監視区域(Surveillance Zone)が設定された。発生農場がスロバキア国境から約2キロメートルの距離に位置しているため、制限区域はスロバキアにも及ぶこととなる。
今回の口蹄疫発生を受け、英国はハンガリーおよびスロバキアからの家畜、食肉などの輸入を禁止した。
なお、ハンガリーの2023年の牛肉生産量は2万3000トン(EU域内占有率0.4%)、豚肉生産量は42万トン(同2.0%)、生乳出荷量は165万2000トン(同1.1%)である。