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中国農業農村部、牛の凍結精液市場に関する通知を公表(中国)

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 中国農業農村部は2025年2月7日、牛の凍結精液取引市場における不適切な生産や、偽物または劣悪な凍結精液の流通、国家の認証を受けずに海外から精液を輸入する違法行為などを取り締まるため、「牛の凍結精液の品質管理と種畜市場の浄化の強化に関する通知」を公表した。
 その全文は以下の通りである。

牛の凍結精液の品質管理と種畜市場の浄化の強化に関する通知

 中央政府が推進する種畜振興政策を貫徹し、「中華人民共和国畜牧法」の関連規定を遂行し、牛の凍結精液の品質管理を確実に行い、生産・取扱行為を規範化し、種畜市場を浄化し、肉牛・乳牛産業の質の高い発展を促進するため、以下の通り通知する。

(1)生産・取扱許可の規範化
 各省の農業農村部門は、「許可した者が責任を負う」との原則に従い、(凍結精液の)生産・取扱許可の管理を厳格に行い、管轄区内の凍結精液生産・取扱企業のリストを見直し、組織的に確認業務を実施すること。企業の生産・取扱の状況、施設および専門人員などの条件および種牛の情報など、許可条件を備えていない、または違法行為が存在することが判明した場合には法に則り厳格に対応すること。
 農業農村部が適時提供する家畜・家きん生産・経営許可プラットフォームの許可情報を更新し、関連企業には法に従って正しい情報を登録するよう指導し、2025年4月30日以前に1回目の確認作業を終え、実施状況を当農業農村部に報告すること。

(2)種牛品質評価制度の改善
 当部は、種牛の登録と能力測定技術の規範化(基準の策定やその普及など)を進める。繁殖能力や利用可能年数、健康状態などの評価、さらにはその評価モデル・算定式の最適化を進め、種牛品質評価体系の健全化を図り、評価の正確性および評価結果の利用可能年限を高めながら、毎年、全国の種牛の評価結果、育種適性値および順位を公表する(注)。また、全国種牛データバンクの整備を加速し、健全な種牛・種牛候補の雄牛のトレーサビリティ体系の構築にも努める。毎半期に一度、各省で種牛の精液採取能力の再確認を行い、合格した種牛についてはそのリストを公表するとともに、各地の肉牛繁殖農家が品質基準に合格した、信用できる凍結精液が使用できるようにする。また、輸入凍結精液については遺伝子配列の検査を行うとともに、精液採取する雄牛については種牛としての評価を行う。

 (注)中国の基本政策は5カ年計画とその元となる中長期計画とに基づいて策定、実施されており、肉牛の遺伝資源については後者の「全国肉牛遺伝資源改良計画(2021―2035年)」が策定されている。農業農村部は同計画に基づく取り組みとして種牛の情報を公開しており、2024年12月には「2024中国肉牛および乳牛兼用種牛遺伝資源評価概要」によって全国45カ所の種牛提供所の31品種、合計3771頭の種牛の遺伝資源評価の結果を公表した。

(3)法令に基づく輸入審査の厳格な実施
 各省の農業農村部門は「畜牧法」および「家畜・家きん遺伝資源の輸出入・対外協力研究利用の許認可に関する弁法」の関連規定に基づき、「種牛および凍結精液・受精卵の輸入に関する技術的要件」を厳格に執行し、凍結精液の導入に関する指導を強化し、関連手続きの申請を適切に処理し、企業が適切にそれらの導入結果を報告し、かつ、凍結精液の品質測定に協力するよう促すこと。
 当部は「精液供給個体の総合育種適性値はその供出国(地区)における当該品種の上位10%以内」という基準を厳格に執行し、専門家による評価を適切に行うとともに、牛複合脊椎形成不全症(CVM:Complex Vertebral Malformation)、牛白血球粘着性欠如症(BLAD:bovine leukocyte adhesion deficiency)などの遺伝子欠陥に対する監督を組織的に展開する。

(4)違法な生産経営行為の厳格な取締り
 各省の農業農村部門は、凍結精液の生産・取扱を行う企業に対して自主点検を促し、不適切な生産・取扱や品質管理、虚偽のある標識、あるいは農業農村部の許認可を得ずに輸入した凍結精液があれば自らそれを改めさせ、2025年6月30日までにこれを完了し、実施状況を当農業農村部に報告すること。
 また、抽出検査を強化し、検査と取締りを適切に組み合わせ、凍結精液の生産・取扱企業の網羅的な調査を実現すること。予告して、または政府職員であることを通告しない訪問などの方法によって、基準に合格していない凍結精液の販売や基準に合致していない凍結精液を基準に合致した凍結精液と偽って販売する行為、農業農村部の許認可を経ずに凍結精液を輸入、あるいは種牛基準合格証、検疫証明書または血統証明書のない凍結精液を輸入する行為、家畜標識を偽造、変造または再利用する行為、または偽造、変造した家畜標識を保持する行為などの違法行為を厳格に取り締まること。
 これらの通報ルートを確保し、無許可で偽の、または劣悪な凍結精液産品の製造、販売を行う行為には厳然と対応し、犯罪行為が疑われる案件は公安部門に移送すること。

(5)優良企業の積極的な支援
 各地は優良企業が肉牛、乳牛の重要な育種場および種牛提供所を建設し、種牛の飼養、能力測定、品質評価、防疫などに関する施設の整備を支持すること。複合育種を展開し、育種核心牛群と遺伝子選抜時の参考牛群の飼養規模を拡大し、体型鑑定、性能測定および遺伝資源評価を強化し、若い雄牛の次世代測定の比率を高め、種牛の自主育成能力を向上させること。また、企業に対して疾病対策を強化するよう指導し、ブルセラ症および結核などの疫病の浄化を重点的に行うこと。企業による種牛の飼養管理に対する管理を強化し、凍結精液の生産と品質評価などの関連基準の遵守を厳格に執行すること。

(6)技術指導サービスの強化
 当部は、凍結精液の広域検測と効果評価の体系を健全に整備し、重点飼養企業による凍結精液の使用状況を監督し、牛群についての遺伝資源改良効果の評価を行う。各地は畜産技術普及機構、関係業界・協会、現代農業技術組織および研究機関が有する技術的な優位性を発揮し、遺伝資源評価の結果の応用を強化し、企業による精液の導入、生産経営など全過程に対する技術指導を推進すること。人工授精のためのチームを作り、要員リストを作成し、導入する品種の選定や母牛の選定、人工授精、能力測定などの遺伝資源の改良に関する技術研修を強化し、優良な凍結精液が規範的に使用されるよう指導すること。
【調査情報部 令和7年3月12日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-9530