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デニッシュ・クラウン社、脂肪交雑の格付けに応じて上乗せ金(EU)

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 デンマークの食肉最大手デニッシュ・クラウン社は2025年2月21日、25年第1四半期中に牛肉の脂肪交雑の格付けに応じた上乗せ金の支払いを開始すると発表した。南ヨーロッパでは脂肪交雑の多い牛肉への需要が高く、経産牛、未経産牛および去勢牛の脂肪交雑の程度に応じて上乗せ金が支払われる。また、脂肪交雑の判定には、画像判定システムが用いられる。

脂肪交雑の格付けと上乗せ金額

 脂肪交雑の程度は、「プレミアム」、「高」、「中」、「低」の4段階に格付けされ、「プレミアム」では1キログラム当たり1.5デンマーククローネ(同32円:1デンマーククローネ=21.16円(注))、「高」では同1.0デンマーククローネ(同21円)の上乗せ金が支払われる(図)。
 
(注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2025年2月末TTS相場。
(参考)デンマークの2023年枝肉価格(去勢牛R3)は、1キログラム当たり4.4ユーロ(同691円:1ユーロ=157.10円(注))。EUにおける牛肉の格付けは、枝肉の外見から判断可能な「枝肉の形態」および「枝肉の脂肪の付着度合」を判断要素として実施している。畜産の情報「EUの牛肉需給と肉牛・牛肉産業の状況」もご参照ください。
図
 この上乗せ金は、デニッシュ・クラウン社の商品のうち、脂肪交雑の多いプライムリブが南ヨーロッパで高い人気を誇ることを反映したとされる。同社の南ヨーロッパ販売部長は、「脂肪交雑が一定レベルを超えた牛肉に対し、特にイタリアとスペインの飲食業界からの需要は高く、両国の消費者は高品質な牛肉の購買意欲が高いので、供給量が限られた脂肪交雑の多い牛肉の販売機会は多い」としている。また、今回の上乗せ金に関し、「脂肪交雑の多い牛肉には一定の購買層が存在するが、脂肪交雑の程度を「プレミアム」と「高」に分けて提供することで、これまで訴求できなかった層への販売につながる」と期待感を表わした。

脂肪交雑の判定方法

 牛肉の脂肪交雑の判定には、これまで、訓練を受けた脂肪交雑の判定員が格付けを行ってきたが、今後は画像判定システムにより、格付けを実施するとしている。具体的には、同社の食肉処理場(オールボー工場、ホルステッド工場)の作業員が枝肉の断面を撮影し、それを画像判定システムに取り込んで脂肪交雑を格付けする。
 同社は、先行実施の結果により(1)脂肪が筋肉中により多く形成されるには牛がある程度の月齢に達する必要があること(2)非去勢雄牛では筋肉の肥大に伴い脂肪の量が増えるわけではないこと−から、経産牛、未経産牛および去勢牛の脂肪交雑に注目している。今後は、画像判定システムによる脂肪交雑の格付け結果から、飼料、月齢および品種など脂肪交雑の形成に影響を与える要因について研究を進めていくとしている。
【渡辺淳一 令和7年3月13日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
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