米国農務省による世界の大豆需給予測(2025年3月)
生産量は据え置きも、消費量の上方修正から期末在庫は下方修正
米国農務省世界農業観測ボード(USDA/WAOB)および米国農務省海外農業局(USDA/FAS)は2025年3月11日、2024/25年度の世界の大豆需給予測値を更新した(表)。
これによると、同年度の世界の大豆生産量は4億2076万トン(前年度比6.5%増)と前月から据え置かれた。このうち、最大の生産国であるブラジル、これに次ぐ米国などはいずれも前月から据え置かれた。
輸入量は、世界全体で1億7920万トン(同0.5%増)と前月から4万トン下方修正された。このうち、最大の輸入国である中国は1億900万トン(前年度比2.7%減)と前月から据え置かれた。
消費量(搾油仕向け)は、世界全体で3億5284万トン(同6.5%増)と前月から295万トン上方修正された。このうち、最大の消費国である中国は搾油需要などから1億500万トン(同6.1%増)と前月から200万トン、アルゼンチンも同様に4200万トン(同14.8%増)と前月から100万トン、それぞれ上方修正されたことが反映されている。
輸出量は、世界全体で1億8195万トン(同2.5%増)と前月から3万トン下方修正された。このうち、最大の輸出国であるブラジルは1億550万トン(同1.3%増)、これに次ぐ米国は4967万トン(同7.7%増)といずれも前月から据え置かれた。
この結果、期末在庫は生産量が据え置かれた中で消費量が上方修正されたことで、1億2141万トン(同7.9%増)と前月から293万トン下方修正された。
今回の予測では、米国の生産量は据え置かれ、期末在庫は市場関係者による事前予想の範囲内とされたが、24/25年度の米国内のバイオ燃料向け大豆油需要の緩和などを踏まえてUSDAは、米国の生産者販売価格を前月の1ブッシェル当たり10.10米ドル(1522円、1キログラム当たり60円(注1):1米ドル=150.67円(注2))から同9.95米ドル(1499円、同59円(注1)、前年度比19.8%安)に引き下げている。
また、今回の予測値に関して中国の輸入量に目を向けると、同日付で中国農業農村部が公表した同年度の中国の大豆輸入量9460万トンとは引き続き乖離がある。中国国内では引き続き大豆需給の緩和も報じられており、世界の期末在庫が比較的高い水準にある中で、同国の輸入動向が注目されている。
(注1)1ブッシェルを約25.401キログラムとして農畜産業振興機構が換算。
(注2)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2025年2月末TTS相場。
【横田 徹 令和7年3月14日発】
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