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スロバキアで口蹄疫が発生、EU域内で3カ国目(EU)

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 スロバキア政府は2025年3月21日、ハンガリーとの国境近くの3農場で飼養されていた牛から口蹄疫の感染を確認したと公表した。感染が確認された3農場では、乳用牛などを約2800頭飼養しており、このうち12頭から感染が確認された。スロバキアでの口蹄疫発生は1973年以来となる。
 今回感染が確認された3農場は、ハンガリーとの国境であるドナウ川に隣接し、3月6日に口蹄疫の発生が確認されたハンガリーの農場(注1)から近く、うち1農場はハンガリーでの口蹄疫発生に伴い設定された半径10キロメートルの制限区域内に所在している(図)。
 さらに、3月25日には新たに1農場で飼養されていた牛から口蹄疫の感染が確認された。同農場は20日に口蹄疫の発生が確認された3農場のうちの1農場の監視区域内に位置している。
 
(注1)海外情報「ハンガリーで口蹄疫が発生、牛での感染を確認(EU)」をご参照ください。
図
 口蹄疫の発生を受けて同国では、まん延を防ぐため、口蹄疫に感受性のある動物の国内での移動禁止措置などがとられた。また、口蹄疫の感染が確認された農場の周囲には制限区域が設けられ、発生農場から半径3キロメートルの保護区域(Protection Zone)と同10キロメートルの監視区域(Surveillance Zone)が設定された。保護区域内の感受性のある動物は殺処分される。この殺処分に要する時間を確保するため、同区域内では口蹄疫ワクチンの接種が行われた。
 また、3月25日の4例目の発生を受けて、スロバキア政府は非常事態宣言を発令し、口蹄疫の感染拡大を防ぐための措置や影響を受ける生産者などへの支援を行うと発表した。

生体や食肉などの輸入停止措置

 スロバキアに隣接するポーランドは3月21日、スロバキアからの家畜生体や食肉、乳製品、牧草などの輸入を停止した。また、隣国のオーストリアやチェコでも家畜生体などの輸入が禁止され、スロバキアとの国境における検査体制を強化した。
 日本でも、ハンガリーでの口蹄疫発生に伴い3月7日付で、スロバキア産の乳製品など(乳製品については、口蹄疫ウイルスを不活化する処理(加熱など)がなされたことを確認されたものを除く。)の輸入を一時停止している。また、スロバキア産の生きた偶蹄類動物、これらの動物の精液等、肉・内臓等、穀物のわら、飼料用の乾草などについては、従来から家畜伝染病予防法に基づき輸入が禁止されている。

2025年1月以降、EU域内3カ国で発生

 欧州では、2025年1月10日にドイツで37年ぶりとなる口蹄疫の感染が水牛で確認(注2)された。同国ではその後の口蹄疫発生は確認されず、3月12日付で封じ込め区域を除き、ワクチン非接種口蹄疫清浄地域としての国際獣疫事務局(WOAH)ステータスは回復された。なお、確認された口蹄疫ウイルスの血清型(注3)はO型で2024年にトルコで確認されたものと最も近い配列であった。
 EUで2例目の発生は、同年3月6日にハンガリーで牛から確認され、口蹄疫ウイルスの血清型はO型で2017、18年にパキスタンで確認されたものと最も近い配列であることが判明しているが、感染経路は現時点で不明となっている。
 EU域内3例目と4例目となる今回のスロバキアで発生した口蹄疫ウイルスの血清型は、3月25日時点では判明していない。
 
(注2)海外情報「ドイツで1988年以来の口蹄疫が発生、水牛での感染を確認(EU)」をご参照ください。
(注3)口蹄疫ウイルスには、O、A、C、Asia1、SAT1、SAT2およびSAT3の7種類のタイプ(血清型)がある。
【調査情報部 令和7年3月26日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-4397