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米国農務省、停止状態の中国向け食肉輸出認可施設の登録更新を公表(米国)

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 米国農務省・海外農務局(USDA/FAS)は2025年3月18日、中国海関総署(GACC)が15日および17日に、米国内の中国向け豚肉輸出認可施設(365件)・鶏肉輸出施設(210件)の認可登録を更新したことを公表した。
 中国では、輸入食品の安全性を確保するため、特定の食品について、外国企業が海外で生産する食品の輸入を認可制としている。今般、5年ごとの認可登録の更新時期を迎えていた中で、GACCは3月16日、米国内の更新対象となる豚肉および鶏肉輸出施設の登録状況を、突如「有効」から「期限切れ」に変更し、事実上、これら施設からの輸入が停止状態となっていた。現地報道によると、トランプ政権による中国への追加関税措置への報復措置とみられていた。
 米国豚肉生産者協議会(NPPC)は3月17日、GACCの認可登録の更新後、声明を発表し、「過去数カ月の間、米国農務省(USDA)と米国通商代表部(USTR)は、期限切れ間近となった認可施設の登録更新に向けて、中国側と積極的に協議を進めてきた」とした上で、「14億人の人口を抱える中国市場へのアクセスの維持と確実性の向上に繋がる」と歓迎を表明した。
 一方、認可登録されている牛肉輸出施設(654件)のうち、386施設については、いまだ認可登録の更新が行われていない。

中国向け食肉輸出の動向

 ここ数年間の米国の中国向けの食肉輸出の動向を見ると、牛肉は増加傾向、豚肉および鶏肉に関しては減少傾向で推移している。 

 

  1. 牛肉 

牛肉輸出は、第一次トランプ政権時2020年2月に発効した米中経済貿易協定の第1段階の合意により、中国の牛肉輸入制限が緩和されことで増加し24年の輸出量は21万5282トン(20年比4.0倍拡大している。輸出先としては日本、韓国に続き、中国は第3位となり、全輸出量の約16%を占めている。 

 

  1. 豚肉 

 豚肉輸出は、2018年に中国国内で発生したASF(アフリカ豚熱)流行に伴う生産減により輸入増加した。21年以降は中国国内の豚肉生産量の回復や競合国からの輸入により米国からの輸出量は減少している。 

 

  1. 鶏肉  

鶏肉輸出米中経済貿易協定の第1段階合意よる輸入制限解除に伴い、2020年に輸出量が拡大したもののその後は減少傾向で推移している。また、鶏肉全体(鶏足(もみじ)を除く)の輸出量に占める中国の割合は一桁台に留まっているが、中国は鶏足の最大の輸出先であり、これも含めた輸出量ではメキシコに次ぐ第2の輸出先となっている 

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【伊藤 瑞基 令和7年3月27日発】
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農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
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