中国政府は2025年4月11日、米国による追加関税措置への報復として、畜産物や飼料を含むすべての米国産輸入品に対して4月10日から課していた84%の追加関税を、同月12日から125%に引き上げると発表した。今回の追加関税は、品目ごとの最恵国税率や25年3月に米国産の畜産物・飼料などに課された追加関税10〜15%
(注1)に上乗せするものである。
(注1)海外情報「米中貿易摩擦による畜産業への影響は限定、飼料利用の改善などを公表(中国)」(令和7年4月11日発)をご参照ください。
農畜産物については、2018年の第一次トランプ政権による中国に対する関税措置に対抗するものとして、中国政府が、同年4月に米国産の豚肉およびくず肉に対して25%
(注2)、同年7月に米国産の畜産物、乳製品、飼料などに対して25%
(注3)をそれぞれ課している。
(注2)HSコードなど詳細については、海外情報「豚肉を含む128ラインに追加関税を賦課」(平成30年4月3日発)をご参照ください。
(注3)HSコードなど詳細については、海外情報「米国産の畜産物や大豆など545ラインに追加関税を賦課(中国)」(平成30年6月19日発)をご参照ください。
2018年の追加関税以前の17年と直近24年の輸入量を比較すると、米国からの輸入量が減少している品目(豚肉、くず肉(豚の内臓など)、大豆、粗飼料(アルファルファなど)、DDGS(トウモロコシ蒸留かすなど))がある一方、中国国内の需要増を受け、追加関税が課された後も多くの品目で輸入量が増加している(表)。しかし、特に輸入量が多く、中国にとって重要な品目であるトウモロコシと大豆については、米国産の割合が減少し、ブラジル産の割合が大幅に増加していることに留意する必要がある。今回の追加関税により、中国がこれら品目の輸入先を米国から他の地域に変更する動きを強めることなどが予想されるため、国際相場などにも影響するとみられる今後の動向が注視されている。
なお、今回の追加関税に先立ち米国政府は4月9日、中国産の輸入品に対し、125%の追加関税(同年2月および3月の追加関税と合わせて145%)を課している。