インド砂糖・バイオエネルギー製造業者協会(ISMA)など砂糖業界団体は、FRPが引き上げられたことに歓迎の意を示した。これにより、インド国内に約5500万戸あるサトウキビ生産者の収益が25/26年度には2000億ルピー(3660億円)以上増加し、総額で約1兆2000億ルピー(2兆1960億円)に達するとしている。また、FRPの引き上げはサトウキビ生産者の生活を向上させるだけではなく、サトウキビが重要な収入源となっている農村の経済全体を強化するとした。
その一方で、製糖業者から卸売業者などへの砂糖の最低販売価格(MSP:Minimum Selling Price)やエタノールの調達価格をサトウキビのFRPの引き上げに整合させるよう中央政府に要請した。MSPは、サトウキビ生産者の利益の保護や製糖業者の収益を改善するため、2018年6月に1キンタル当たり
(注2)2900ルピー(5307円)で導入され、19年2月には同3100ルピー(5673円)に改訂されたが、それ以降は据え置かれている。
ISMAは、FRPの引き上げはサトウキビ生産者に利益をもたらす一方で、製糖工場にとっては原料コストの上昇にもつながることにも言及し、砂糖の販売価格とエタノールの調達価格が同様に調整されることで、製糖工場は財政的な負担なしにこれらのコスト増を吸収することができるとしている。また、このような調整により、製糖工場はキャッシュフローが改善し、サトウキビ生産者に適時に支払うことができるとした。
さらに、西インド製糖協会(WISMA)も同様にサトウキビのFRP引き上げを歓迎し、MSPについても引き上げの必要性を強調した。具体的には、砂糖業界を財政危機から脱却させるために、MSPを1キンタル当たり4200ルピー(7686円)に増額するよう中央政府に要請するとした。
(注2)MSPは通常1キログラム当たりの価格で表されるが、ここでは1キンタル(100キログラム)当たりの値に換算したものを示した。
【調査情報部 峯岸 啓之 令和7年5月13日発】