米国農務省による世界の大豆需給予測(2025年5月)
25/26年度は生産量、輸出量ともに増加見込み、期末在庫は微増
米国農務省世界農業観測ボード(USDA/WAOB)および米国農務省海外農業局(USDA/FAS)は2025年5月12日、2025/26年度最初の世界の大豆需給予測値を公表した(表)。
これによると、同年度の世界の大豆生産量は4億2682万トン(前年度比1.4%増)とわずかな増加が見込まれている。このうち、最大の生産国であるブラジルは1億7500万トン(同3.6%増)と、前年度に続き過去最大の生産量が見込まれている。また、これに次ぐ米国は作付面積の減少見込から1億1812万トン(同0.6%減)、アルゼンチンは4850万トン(同1.0%減)とされた。さらに中国は、大豆の生産振興策を背景に前年度をわずかに上回る2100万トン(同1.7%増)とされた。
輸入量は、世界全体で1億8682万トン(同4.9%増)とやや増加が見込まれている。このうち、最大の輸入国である中国は、前年度をやや上回る1億1200万トン(同3.7%増)とされた。
消費量(搾油仕向け)は、世界全体で3億6646万トン(同3.5%増)とやや増加が見込まれている。このうち、最大の消費国である中国は、搾油向け需要の回復などから前年度をやや上回る1億800万トン(同3.8%増)とされた。
輸出量は、世界全体で1億8843万トン(同4.2%増)とやや増加が見込まれている。このうち、最大の輸出国であるブラジルは生産量の増加を受けて1億1200万トン(同7.2%増)、これに次ぐ米国は生産量の減少を受けて4940万トン(同1.9%減)とされた。
この結果、期末在庫は1億2433万トン(同0.9%増)とわずかな増加が見込まれている。
今回の予測では、米国の期末在庫が市場関係者の当初予想を下回る水準とされたこともあり、USDAは米国の生産者販売価格を1ブッシェル当たり10.25米ドル(1472円、1キログラム当たり54円(注1):1米ドル=143.57円(注2)、前年度比3.0%高)と見込んでいる。
また、今回の予測値に関して中国の輸入量に目を向けると、同日付で中国農業農村部が公表した25/26年度の中国の大豆輸入量9580万トンと、USDAの予測値には1620万トンの乖離がある。
なお、今回の予測は、天候条件が通常または好天と想定されているため、今後の気象状況の変化による生産量や輸出量への影響に注視が必要とされる。
(注1)1ブッシェルを約27.215キログラムとして農畜産業振興機構が換算。
(注2)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2025年4月末TTS相場。
【横田 徹 令和7年5月15日発】
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