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2025年、26年の牛肉生産量は減少見込み(米国)

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 米国農務省経済調査局(USDA/ERS)は2025年5月16日、2025年と26年における月例の米国畜産物の需給見通しを発表した。この中で、牛肉については、米国は同月11日、メキシコにおけるラセンウジバエの発生拡大に伴い同国からの生体牛輸入を再度停止(注1)していることから、輸入停止が今後も続いた場合の影響を反映した見通しとなっている。
 これによると、牛肉輸出量は25年、26年とも生産減により減少が見込まれている。一方、輸入量は、25年は増加するものの26年は減少すると見込まれている。以下にその概況を報告する。

(注1)詳細は「【海外情報】米国はメキシコからの生体牛の輸入を再度停止(米国)(令和7年5月21日発)」をご参照ください。

1 25年の生産量は前年比2.1%減、26年は同4.9%減の見込み

 平均枝肉重量は肥育期間の延長により増加傾向にあるが、フィードロット収容可能頭数に限界があることに加え、メキシコからの肥育もと牛の輸入停止や、繁殖用に保留される未経産牛の増加(注2)などにより、25年後半から26年前半にかけて肥育もと牛の減少が見込まれる。
 その結果、牛肉生産量は2025年に1198万5000トン(前年比2.1%減)とわずかに減少し、さらに、26年にも1140万3000トン(前年比4.9%減)とやや減少すると予測されている(図1)。

(注2)現地報道によると、南部(テキサス州、オクラホマ州、カンザス州)における干ばつの改善がみられる中で、繁殖に仕向けられる未経産牛が増加するなど繁殖雌牛を保留する動きがみられるという。25年4月17日公表の米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)の報告書「Cattle on feed」では、同年4月に1000頭規模以上のフィードロットに導入された未経産牛が438万頭と前年同月比で3.9%減少しており、報道情報を裏付ける形となった。
図1 米国の牛肉生産量

2 25年の輸入量は前年比9.4%増も、26年は同1.9%減の見込み

 2025年の牛肉輸入量は、230万トン(前年比9.4%増)とかなりの程度増加すると予測される(図2)。25年3月には25年1月、24年1月に次いで過去3番目の月間輸入量となるなど、第1四半期(25年1〜3月)の輸入が増加した。なお、生産量が減少する中で米国の底堅い需要を満たすために、今後も堅調な輸入が続くとみられている。
 26年の輸入量は、225万7000トン(同1.9%減)とわずかに減少すると予測される。米国内の需要は堅調にあるものの、関税をめぐる動向に加えて、各国の輸出量については大幅に増加させる余力はないと見込まれている。
 一方、25年の牛肉輸出量は、生産量の減少による輸出仕向け量の減少などから、120万7000トン(同11.3%減)とかなり大きく減少し、26年も生産量の減少、牛肉価格の上昇、豪州やニュージーランドとの競合などから、113万2000トン(同6.3%減)とかなりの程度減少が見込まれている。このため、米国における牛肉の貿易赤字は25年に続き26年も拡大するとみられている。
図2 米国の牛肉輸入量・輸出量

3 25年の1人当たり牛肉消費量は前年並み、26年は4.6%減の見込み

 2025年の1人当たりの年間牛肉消費量は26.8キログラム(前年比0.0%増)と前年並みとなる一方、26年は25.6キログラム(同4.6%減)とやや減少すると予測される(図3)。26年は、25年に次ぐ水準の牛肉輸入によって、生産量の減少に伴う供給不足が部分的に補われるものの、生産量の減少に伴う牛肉価格は高値圏での推移が見込まれ、牛肉消費量は16年以来の低水準に落ち込むとみられている。
図3 米国の年間1人当たりの牛肉消費量
【大西 未来 令和7年5月30日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際情報グループ)
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