輸入量は、107万トン(同30.8%減)と前年を大幅に下回った。同年の輸入量は、豚肉消費量の減少と国内外の豚肉価格差の縮小に加え、EU産豚肉に対するアンチダンピング調査の実施
(注1)などの影響を受けて減少した。主な輸入先はブラジル(輸入量に占める割合は27.7%)、スペイン(同22.1%)、カナダ(同7.1%)およびオランダ(同7.1%)であり、これら上位4カ国で6割以上を占めている。
消費量は、5801万トン(同2.3%減)と前年をわずかに下回った。減少の要因としては、人口減少や牛肉・羊肉価格下落に伴う他の食肉への需要の移行などとされている。このような食肉消費の多様化といった食生活の変化から、豚肉の1人当たり消費量は31.8キログロム(同0.7%減)、豚肉の世帯当たり消費量は28.1キログラム(同7.8%減)となった。また、消費量のうち加工仕向量は1053万トン(同1.1%減)となった。
価格面では、24年の豚肉平均価格は同7.4%高の1キログラム当たり27.7元(563円:1元=20.31円
(注2))となった。同価格の推移を見ると、23年末から24年1月までは下落傾向にあり、2月は春節需要により上昇したものの、3月は春節後の豚肉消費の落ち込みから再び下落した。4月から9月にかけて、養豚業者の出荷先延ばしに加え、二次肥育
(注3)の実施により、豚肉供給量が減少したことで上昇し、9月には年間最高価格となる同31.4元(638円)となった。一方、10月以降、前期の出荷の先延ばし分や二次肥育による大型生体豚の出荷増に加え、暖冬による加工食品(塩蔵製品など)の製造期間短縮により、再び需給は緩和に転じて27.9元(567円)にまで下落した。
(注1)海外情報「EU産豚肉に対する中国のアンチダンピング調査が開始(EU)」(令和6年6月21日発)をご参照ください。
(注2)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2025年5月末TTS相場。
(注3)出荷適正体重となった肥育豚を購入して再肥育し、通常の出荷体重以上に増体させること。生体豚価格の上昇が見込まれる場合に実施されることが多い。