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NZ政府、新たな畜産物のグラスフェッド認証制度を発表(NZ)

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 ニュージーランド(NZ)政府のラクソン首相とマクレイ農相は2025年6月11日、NZ北島ハミルトンで開催された南半球最大の農業見本市「Fieldays」に登壇し、NZ産畜産物の国際競争力を強化するために新たなグラスフェッド認証制度を導入すると発表した。これまで企業や団体が独自に設定した基準によるグラスフェッド認証制度は存在したが、政府主導の全国統一的な基準の導入は今回が初となる。
 同制度は、食肉および食肉製品と牛乳・乳製品を対象としており、NZ第一次産業省(MPI)が新たなグラスフェッド基準(以下「新基準」という)の策定・見直しや維持管理を担うこととしている。一方で、MPIは同制度の運用に関与せず、新基準に基づき自らの認証制度を構築・運営し、その適合性をMPIから承認された制度運営者(scheme owner)と呼ばれる事業者や団体に運用が委ねられている。6月13日時点で、NZ乳業最大手のフォンテラ社とNZ最大の羊乳生産企業Spring Sheep Dairy NZがMPIの承認リストに掲載されており、生産者は制度運営者を介して間接的に制度に参加することとなる。
 新基準は、NZのグラスフェッドブランドの定義を明確化するため、具体的な数値基準などが定められている(表)。また、基準を満たした製品は統一ロゴである「グラスフェッドファーンマーク」の利用が可能となる。NZの象徴であるシダの葉(シルバーファーン)が描かれた「ファーンマーク」は、NZが原産地であることを証明する政府公認のロゴとして、公的機関であるNZ Story Group(注1)によって運用されており、今回の統一ロゴはそのバリエーションの一つとなる。グラスフェッド表示の一貫性や信頼性を担保することで、NZ産畜産物のマーケティング効果を高め、輸出促進に寄与するものと期待されている。
 
(注1)NZ政府が設立した国家ブランド戦略機関。NZ産品・サービス・文化の価値を国際的に発信し、輸出や投資を促進するためのブランド創造・マーケティングを担っている。
表

NZの輸出額

 ラクソン首相は、同イベントで政府による最新の報告書「第一次産業の状況と見通し」の内容について言及し、2024/25年度(7月〜翌6月)の農林水産物輸出額は599億2000万NZドル(5兆2706億円:1NZドル=87.96円(注2)、前年度比12%増)と過去最高を記録する見通しであると報告した(図)。特に国際価格の上昇を背景に牛乳・乳製品部門は270億1000万NZドル(2兆3758億円、同16%増)、食肉および羊毛部門は123億1000万NZドル(1兆0829億円、同8%増)と大きな伸びを示しており、さらなる成長が期待されている。今後もNZ政府は輸出政策の推進に力を入れていくとみられており、上述したグラスフェッド認証制度の効果をはじめ、その動向が注目される。

 (注2)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2025年5月末TTS相場。
図
【調査情報部 令和7年6月17日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-4389