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23/24年度の園芸生産額は過去最高を更新(豪州)

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最終更新日:2025年6月23日

 豪州の園芸関係団体であるホート・イノベーションは2025年2月、75品目におよぶ園芸品目(注1)の需給などに関する統計ハンドブックを公表した。また、豪州農業資源経済科学局(ABARES)は同年3月、今後6年間(24/25〜29/30年度(注2))の同国における園芸作物の需給動向分析を公表した。本稿では両資料を基に、豪州の園芸生産の見込みなどについて紹介する。
 
 ホート・イノベーションの報告によると、2023/24年度の豪州の園芸生産額は前年度比4.3%増の169億8360万豪ドル(1兆6063億円:1豪ドル=94.58円(注3))と過去最高を記録している。これは、ベリー、レモン、バナナを中心とした果樹の生産額向上が要因とされる。ホート・イノベーションの最高経営責任者は、「輸出の推進から地元の需要への対応まで、私たちの園芸産業は、農業経済の礎としての強さを再び証明した」とし、「今年の成長は、主に良好な生育条件などによる収量の改善および世界的な需要の拡大によってさらに支えられた」と述べた。一方で、「豪州の園芸は、人件費、エネルギー、資本、肥料などの生産コストに関して、歴史的な高水準に直面していることも忘れてはならない」と述べた。
 
 また、ABARESの報告によると、園芸産品全体の輸出額は、かんがいを用いた効率的な水資源の利用による生産量の増加に加え、果樹やナッツ類を中心とした国内外の需要拡大により、25/26年度には41億豪ドル(3878億円、前年度比3.8%増)、29/30年度には46億豪ドル(4351億円、25/26年度比13.8%増)の増加が見込まれている(図1)。

(注1)野菜、果樹、ナッツ類、花きなど。
(注2)豪州の会計年度は、7月〜翌6月。

(注3)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の25年5月末TTS相場。
図1
 さらに、ホート・イノベーションの報告によると、直近の23/24年度の野菜の国内生産額は、57億120万豪ドル(5392億1950万円、前年度比2.4%減)と前年度を下回った(表、図2)。この要因として、生産コストの上昇の影響が挙げられている。品目別に見ると、日本の輸入先第3位(注4)のにんじんは、2億3970万豪ドル(226億7083万円、同8.4%減)、同3位のたまねぎは2億9090万豪ドル(275億1332万円、同12.6%減)と、いずれも減少となった。一方で、野菜の国内生産量は383万トン(同7.0%増)と前年度を上回って推移している。

 同年度の野菜の輸出額は、2億5280万豪ドル(239億982万円、同0.4%増)とわずかに増加したものの、国内流通額は、小売および外食を合わせて59億7680万豪ドル(5652億8574万円、同3.4%減)とやや減少した。
(注4)ベジ探「≪輸入≫品目別輸入先国・数量・金額・単価」の24年速報値の国別輸入量順位。
表
図2
 これら野菜に関してABARSは、25/26年度の生産見通しについて、にんじんは30万4000トン(同0.8%増)、たまねぎは27万7000トン(同0.9%増)といずれも増加と見込んでいる(図3)。
図3
【田中 美宇 令和7年6月23日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-4389