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中国農業展望報告(2025−2034)を発表(砂糖編)(中国)

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最終更新日:2025年6月27日

 中国農業農村部は2025年4月20日および21日、中国農業展望大会を開催し、今後10年間の農業を展望する「中国農業展望報告(2025−2034)」を発表した。同大会は14年から毎年開催されており、今回は24年の総括と34年までの農畜水産物の生産量や消費量の見通しが報告された。
 本稿では同報告のうち、砂糖について紹介する。

1.2024年の砂糖需給動向

 糖料作物(サトウキビおよびてん菜)の作付面積は、148万7400ヘクタール(前年比4.6%増)とやや増加した。
 このうち、サトウキビは、継続的に干ばつの影響を受けたことで昨年と比較して糖度は減少したが、作付面積および単収の増加により、甘しゃ糖生産量は989万2000トン(同11.8%増)とかなり大きく増加した。てん菜は、春先の低温で立枯病が広域で発生した影響から単収は減少したものの、作付面積の増加などから、てん菜糖生産量は127万8000トン(同5.4%増)とやや増加した。この結果、甘しゃ糖とてん菜糖をあわせた砂糖生産量は、1117万トン(同25.4%増)と大幅に増加した(表)。
表 砂糖の需給動向および見通し
 輸入量は、世界的な砂糖供給量の増加により国際価格が国内価格を下回った結果、607万トン(同14.7%増)とかなり大きく増加した。主要輸入先を見ると、引き続きブラジルが最大となり、輸入量全体の8割以上を占めている(図)。
図 中国の佐藤の国別輸入量(2024年)
 消費量は、経済状況の回復から1550万トン(同1.0%増)とわずかに増加した。消費の内訳は工業消費(主に加工食品向けの消費)が54.8%(同0.7%増)、家庭消費が45.2%(同0.7%減)となっている。

2.2025年の砂糖需給動向

 2025年の糖料作物の作付面積は、145万8600ヘクタール(同1.9%減)とわずかな減少が見込まれている。
 このうち、サトウキビは、主産地である広西チワン族自治区で干ばつの発生が見込まれること、また、てん菜は、トウモロコシや大豆などの競合作物と比較して収益性が低く、これらよりも不利な状況が予想されることから、いずれも作付面積の減少が見込まれている。この結果、砂糖生産量は1100万トン(同1.5%減)とわずかな減少が見込まれている。
 輸入量は、関税割当管理などの実施により、580万トン(同4.4%減)とやや減少が見込まれている。
 消費量は、国民1人当たりの可処分所得の増加に伴う消費の増加などにより、1570万トン(同1.3%増)と見込まれている。

3.2034年までの砂糖需給動向予測

 2034年の糖料作物の作付面積は、150万6800ヘクタール(基準期間比(<22〜24年の平均値からの増減率>3.4%増)に達すると予測されている。これは、サトウキビの生産に対する補助金政策が継続して実施されることで生産能力が向上し、作付面積が長期的には安定するという見通しに基づいている。
 砂糖生産量は、収穫作業の機械化の進展や糖料作物の栽培技術の向上により、34年には1190万トン(同25.4%増)に達すると予測されている。
 消費量は、国民1人当たりの可処分所得の増加と加工食品の需要拡大に伴い、34年には1657万トン(同7.5%増)に達するとされているが、国民の健康意識の向上などにより、今後約10年間の増加率は落ち着いたものになると予測されている。
 輸入量は、国内の砂糖生産量が安定的に増加する一方、消費量が小幅な増加にとどまることから、34年は519万トン(同7.0%減)と予測されている。

【福寿 悠星 令和7年6月27日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-8609