欧州委員会によると、この見直しの目的は、AWの基準に関する域内単一市場の機能性の確保
(注1)、既存法令の近代化および欧州市民イニシアチブ
(注2)「ケージ時代の終わり(End the Cage Age)」への対応であるとされている。
(注1)現在、AW関連規制は加盟国間での運用が異なっている部分があり、このことが、EU単一市場という面において同一の競争条件の担保を阻害しているとの指摘がある。
(注2)最低7カ国の加盟国から計100万人以上の署名を集めれば、欧州委員会に対して立法を提案することができる制度。
目的達成のため、当該資料で欧州委員会が提示している手法は次の4つである。
(1)ケージ飼養の段階的廃止
ケージによる飼養の段階的廃止のための適切な移行期間と、ケージフリーシステムに関する技術的要件を設定する。検討対象となる可能性のある畜種は、採卵鶏、肉用鶏、豚、子牛、ウサギ、アヒル、ガチョウおよびウズラである。
また、段階的廃止の影響を緩和するための財政支援を行う。
(2)指標とデジタル化
AW指標とその測定方法を設定する。効果的で透明性の高い監視と行政負担の軽減のため、デジタルツールの活用も検討する。検討対象となる可能性のある畜種は、家きん、豚、牛およびウサギである。
(3)輸入要件
(注3)
家畜および家畜由来製品の輸入に対して、AW基準をどの程度適用すべきかを決定する。検討対象となる可能性のある畜種は、家きん、豚、子牛およびウサギである。
(4)1日齢雄ヒナの殺処分の段階的廃止
採卵鶏部門において慣行的に行われている1日齢雄ヒナの殺処分を段階的に廃止し、適切な移行期間と例外措置を設定する。
(注3)2025年2月に公表された「農業と食のビジョン」の中で、EU域内の生産品競争力強化のため、輸入品へのAW基準などの適用厳格化の方針が言及されていた。詳細は海外情報「欧州委員会、EU農業の指針を発表(その2:貿易関係〜輸入品へのEU基準の適用を強化へ〜)(EU)」をご参照ください。