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イタリア、フランスで初となるランピースキン病の発生を確認(EU)

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 イタリア保健省は2025年6月23日、地中海に位置するサルデーニャ島の農場から同国で初となるランピースキン病(注1)の発生を確認したと公表した。その後、7月2日までにサルデーニャ島(9件)と同国北部のロンバルディア州(1件)で計10件の発生が確認されている。
 
(注1)ランピースキン病ウイルスを病原体とし、牛および水牛に感染する。ヒトには感染しない。症状は皮膚の結節や水腫、発熱などであり、乳量減少などの生産性低下などを引き起こす。死亡率は1〜5%。蚊、ハエ、ダニなどを介して感染する。なお、肉による伝播リスクは無視できる。
 
 イタリア当局は、EU規則に沿って、発生農場から半径20キロメートルの保護区域(Protection Zone)と同50キロメートルの監視区域(Surveillance Zone)を設定した。監視区域は最低45日間設定され、同区域内では牛の移動制限などの防疫措置が取られた。
図1

フランスでも感染を確認

 2025年6月29日には、フランスでも同国初となるランピースキン病の発生が確認された。発生地域はフランス南東部のスイスおよびイタリア国境近くのオーヴェルニュ・ローヌ・アルプ地域圏のサヴォワ県である。
 
 フランスでもイタリアと同様に、発生農場から半径20キロメートルの保護区域と同50キロメートルの監視区域が設定された。監視区域は近隣3県(オート・サヴォア県、アン県、イゼール県)に及ぶ。
図2

感染経路は不明

 ランピースキン病は北アフリカ、欧州東部、アジアで感染が拡大しているものの、イタリアとフランスの当局によると、7月2日時点でランピースキン病の感染源を特定するために調査中であるとし、感染経路は不明であるとしている。

日本などは発生国からの牛由来製品の輸入を停止

 これら事例の発生を受け、日本は6月24日にイタリア産、7月1日にフランス産牛由来製品(牛精液、牛受精卵(フランスのみ(注2))、牛内臓製品、飼料用に供する偶蹄類動物由来の乳製品(加熱処理が確認されたものを除く。))の輸入を一時停止した。(注3)
 
(注2)牛受精卵については、イタリアは我が国との間で輸入条件が設定されていないため、従前より輸入不可。
(注3)生きた牛については、イタリア、フランスともに我が国との間で輸入条件が設定されていないため、従前より輸入不可。

 
 また、英国は、生きた牛、遺伝資源(精液、卵子、胚)、生乳とその由来製品、内臓肉(横隔膜と咬筋(ほほ肉)を除く)、皮革および毛皮(国際獣疫事務局が定める手法に従って処理されたものを除く)、その他の牛由来副産物(ゼラチン、コラーゲン、角などを除く)の輸入を一時停止した。
【調査情報部 令和7年7月7日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-8527