豪州の赤身肉
(注1)業界の政策決定機関であるレッドミート諮問委員会(RMAC:Red Meat Advisory Council)は2025年6月26日、19年に発表された業界の10カ年計画である『レッドミート2030』
(注2)の見直しに関する声明を発表し、併せて同計画の改訂版を公表した。
当初の計画では、30年に赤身肉業界でカーボンニュートラルを実現するという目標『CN30』を掲げていたが、今回公表された改訂版ではその文言が削除されており、事実上の目標撤回とみられる。声明の中でRMACのマキロップ委員長は、「連邦政府が2050年のネットゼロ目標
(注3)を表明する前に、我々は野心的な目標『CN30』を設定し、達成に向けてこれまでに1億6000万豪ドル(154億4000万円:1円=96.50ドル
(注4))を超える投資が実現した。しかしながら、家畜の温室効果ガス排出量と環境への影響に関する理解が進歩したことで、同目標は達成不可能であることが明らかになった。今後は、総排出量の削減ではなく、温室効果ガス排出原単位
(注5)の削減により注力していく」と述べている。
また、この発表の翌週には、業界の主要団体である豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)および豪州食肉加工協会(AMPC)が相次いで30年に向けた戦略計画を発表しており、併せて業界の方向性を示唆するものとなっている。
(注1)一般的に牛肉、羊肉など赤色(ミオグロビン)を多く含む家畜の肉を指す。ここでは牛肉、羊肉、ヤギ肉のことを指す。
(注2)海外情報「レッドミート諮問委員会(RMAC)10カ年計画を発表(豪州)」をご参照ください。
(注3)温室効果ガス(GHG)の排出量と吸収量のバランスをとり、正味の排出量をゼロにすること。豪州では2030年までにGHG排出量を05年比で43%削減、50年にはネットゼロを目指す目標が掲げられている。
(注4)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2025年6月末TTS相場。
(注5)ある活動量に対して、どれだけの温室効果ガスが排出されるのかを示す数値。ここでは食肉の生産量1キログラム当たりの温室効果ガス排出量を指す。