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フォンテラ社、消費者向け事業などの仏ラクタリス社への売却に合意(NZ)

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 ニュージーランド(NZ)乳業最大手のフォンテラ社は2025年8月22日、同社のプレスリリースを通じて、消費者向け事業および関連事業をフランスの乳業大手ラクタリス社に38億4500万NZドル(3467億4210万円:1NZドル=90.18円(注1))で売却することに合意したことを発表した。今後、フォンテラ社の株主である生産者による投票や関連する規制当局の承認を経る必要があり、最終的な売却手続き完了は26年上半期になるとみられている。
 
(注1)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2025年7月末TTS相場。

売却する事業の概要

 同社は24年5月に初めて売却案を示して以降、1年3カ月かけて売却先の選定を進めてきた(注2)。今回、売却が合意された事業は、主にアジア・オセアニア地域で展開する消費者向け事業(BtoC)に加え、オセアニア地域とスリランカにおける原料供給および食品サービス事業者向け事業(BtoB)の一部、中東・アフリカ地域の食品サービス事業者向け事業(BtoB)と広範囲に及ぶ。各国の乳業大手が買収を検討する中、7月末の報道ではラクタリス社のほか、豪州のベガ社とオランダのフリースランド・カンピーナ社のコンソーシアム、日本の明治ホールディングス株式会社が最終候補として挙げられていた。フォンテラ社のハーレルCEOは、「これらの事業の売却により、我々は世界トップクラスの原料供給および食品サービス事業に注力することで、株主である生産者およびNZにさらなる価値を提供することができるようになる」と述べている。
 
(注2)海外情報「フォンテラ社、消費者向けブランドの売却など戦略的方向性の転換を発表(NZ)」をご参照ください。

豪州市場への影響

 豪州からの視点で見ると、国内大手4社の一つであるフォンテラ・オーストラリア社が事実上撤退することとなり、そのサプライチェーンの後継は、国内大手の中で唯一の豪州資本(商系)であるベガ社が担うことを期待されていた。しかし、今回の買収劇で同じく大手4社の一つである仏ラクタリス社が豪州最大の市場シェアを獲得する見込みとなっている(詳細な業界の市場シェアは非公表)。豪州酪農家連盟(ADF:Australian Dairy Farmers)のベネット会長は今回の発表を受けて、連邦政府に対して、生産者とフォンテラ・オーストラリア社の間で結ばれた生乳供給契約の確実な履行および同社の主要な乳製品加工施設の継続的な運営を保証するよう求めた。また、「この買収が実現すれば、豪州の2大乳業メーカーが統合した巨大企業(仏ラクタリス社)が誕生し、国内の競争環境に悪影響を与える恐れがある」と深い懸念を表明した。業界の寡占化が生産者の便益を損ねるリスクにどのように対応していくのか、今後の政府・業界の対応が注目されている。
【調査情報部 令和7年8月28日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
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