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主要農産物のオンライン取引割合を30年までに50%に拡大(韓国)

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最終更新日:2025年9月22日

1 流通コスト削減のためオンライン市場取引を拡大

 韓国農林畜産食品部(MAFRA)は2025年9月15日、はくさいなど主要農産物の価格変動緩和と流通コスト削減のため、オンライン卸売市場取引中心の「農産物流通構造改善案」(以下「改善案」という)を公表した(表)。
農産物流通構造改善案の概要
 改善案では、1)生産から消費までの農産物流通構造デジタルトランスフォーメーション、2)卸売市場の競争促進と公益的役割の拡大−の2点が示されており、2点ともオンライン卸売市場流通体制を前提としたものになっている。
 現地報道によると、MAFRAは卸売市場流通効率化による流通コスト削減にはオンライン卸売市場流通への流通構造転換が必要としており、オンライン卸売市場流通の拡大により農産物流通の合理化と物流の最適化が達成できるとされている。これらの達成に向けてMAFRAは、卸売市場流通に占めるオンライン卸売市場取引割合を24年の6%から30年には50%まで引き上げるとしている。

2 取扱実績が低い卸売市場は物流拠点に転換

 オンライン卸売市場取引中心の市場流通体制構築とともに、MAFRAは25年下半期以降、取扱実績の低い卸売市場(卸業者および仲卸業者)の市場指定取り消しと新規事業者の卸事業や仲卸事業への参入を通じた卸売市場取引活性化も推進するとしている。また、営業損失が一定期間続いた場合、セリ機能のない「物流拠点」に転換するとしている。取扱量の少ない卸売市場をなくすことにより集荷能力の高い卸売市場間の競争を促進し、卸売市場流通の活性化を図るとしている。

3 生産者手取りの向上に向けた対策と、出荷団体などの競争力を強化

 MAFRAは、オンライン卸売市場取引の活性化には生産者手取りの向上による出荷意欲の維持と農産物生産の安定化が欠かせないとしている。現地報道によると、生産者手取り向上を妨げるものとして、1)価格下落時の出荷コスト、2)卸業者の過大な営業利益−が挙げられている。これらを改善するためMAFRAは、農産物価格低落時の出荷コスト支援として「出荷費用保全制度」を措置するとともに、一定以上の営業利益を上げた卸業者に対しては、生産者への出荷手数料返還や手数料率の引き下げをさせるとしている。
 卸売市場取扱量増加に向けてMAFRAは、農協の生産・販売機能強化が欠かせないとしている。このため、産地が気候変動などに対応した作付面積の管理・調整を図るためのシステムを構築するとともに、施設園芸などのスマートファーム団地設置を推進し、安定した生産基盤の確立を目指すとしている。さらに、農協など出荷団体の競争力強化により、産地の安定出荷機能を維持するとしている。このため、農協などによる品目別生産・流通統合組織の育成および強化を図り、産地集荷機能を高めるとしている。
【伊澤 昌栄 令和7年9月22日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
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