中国の食品添加物のうち主なものについて、2024年の総生産量は1635万トンとなり、前年比約3.5%の伸びとなった。販売価格では約1515億元(約3兆1708億円、1中国元=20.93円
(注3))となる。このうち、例えば、消費が伸びている調理済み商品によく用いられる複合香辛料の生産量の推移を見ると、20年までは順調に成長していたものがコロナ禍によって一度減少したものの、23年にはおおむね20年の水準まで回復し、24年には過去最高となっている。
現在、中国の消費者は「三減」(塩分、油分、糖分の減少)を求めている。これは中国政府が推奨している健康な食生活、食品バランス
(注4)の影響を受けたものであり、消費者から寄せられる1)健康になりたい、2)体に良いものを取りたい、3)人工物ではなく天然素材が良い、4)素材はシンプルなものがいい−といったニーズに我々添加物業界も応えていく必要がある。消費者の間で高まっている高たんぱく質食品需要も取り入れていく必要がある。たんぱく質の摂取を確保することは、既に課題となっている高齢者の筋肉の衰え、骨粗しょう症や免疫力の低下といった健康問題への解決策となるだけでなく、中長期的に見れば、世界人口が増大の一途をたどる中、必要なたんぱく質を確保するという、消費者の好みに留まらない重要な意義を持つものである。
また、教育レベルの向上に伴って「清潔表示」(原材料の種類が少なく、食品表示がシンプルな商品)を求める消費者も増えており、清潔表示はいまや最終商品製造企業にとってブランド価値を生み出す重要な要素の一つとなっている。これは消費者の健康志向とは異なるニーズである。個性化を求める消費傾向(商品の多様性や新しさを求める傾向)への対応も必要である。
今後は、食品添加物を用いた後でも素材本来の味を損なわず、それでいて商品としては目新しさがあり、今の消費者が求めるライフスタイルにも合っている、といったような商品を生み出せる添加物が求められるだろう。
(注4)中国政府が推奨している健康な食生活、食品バランスについては『畜産の情報』2024年7月号「中国の畜産物を中心とした食料消費の現状と今後の展望」をご参照ください。