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2025/26年度のサトウキビ生産状況等調査報告(第3回)を公表 (ブラジル)

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最終更新日:2025年11月11日

 ブラジル国家食糧供給公社(CONAB)は2025年11月4日、2025/26年度(4月〜翌3月)第3回目のサトウキビ生産状況等調査報告を公表した。本報告は、同年度のサトウキビ、砂糖およびエタノールの生産予測などを四半期ごとに公表するものである。

サトウキビ収穫面積はわずかに増加するも、単収減で生産量はわずかに減少

 2025/26年度のサトウキビ収穫面積は、前回(25年8月)予測から12万ヘクタール上方修正の897万ヘクタール(前年度比2.4%増)とわずかな増加が見込まれている(表1)。
 単収は、前回予測から1ヘクタール当たり1.3トン下方修正され、同74.3トン(同3.8%減)とやや減少が見込まれている。
 この結果、サトウキビ生産量は前回予測から238万トン下方修正の6億6645万トン(同1.6%減)とわずかな減少が見込まれている。このうち、同国最大の生産量を誇るサンパウロ州では、前回予測から259万トン下方修正の3億3531万トン(同5.2%減)とやや減少するものの、国内生産量の50.3%を占めると見込まれている。
 サトウキビの歩留まり指標となるATR(注1)は、前回予測から0.1キログラム下方修正され、サトウキビ1トン当たり133.5キログラム(同2.8%減)とわずかな減少が見込まれている。
 CONABは生産量の減少について、前回予測と同様に生育初期の高温干ばつなどの影響としている。特にサンパウロ州では、長期間の高温干ばつに伴う水不足や24年に州内で発生した火災、25年の局所的な霜害などで生産量が減少したとしている。
 
(注1)1トン当たりの平均回収糖分。ポルトガル語でAçúcar Total Recuperável(総回収可能糖量)の略。
表1

砂糖生産量はわずかに増加、エタノール生産量はわずかに減少

 砂糖生産量は、前回予測から56万トン上方修正され、4502万トン(前年度比2.0%増)とわずかな増加が見込まれている(表2)。このうち、同国最大の生産量を誇るサンパウロ州では、前回予測から128万トン上方修正の2670万トン(同2.6%増)とわずかに増加し、国内生産量の59.3%を占めると見込まれている。この結果、前回予測に続き、2025/26年度の生産量はCONABの報告開始以降、最大となった23/24年度に次ぐ生産量が見込まれている。
 また、エタノール生産量は、前回予測から4億1774万リットル上方修正されたものの、361億5898万リットル(同2.8%減)とわずかな減少が見込まれている。内訳を見ると、サトウキビ由来は、前回予測から2億1393万リットル下方修正の265億5141万リットル(同9.5%減)とかなりの程度減少が見込まれている。一方、トウモロコシ由来は、前回予測から6億3167万リットル上方修正の96億757万リットル(同22.6%増)と大幅に増加し、CONABの報告開始以降、最大の生産量が見込まれている。このうち、94.7%がトウモロコシ生産量の約6割を占めるマットグロッソ州を中心とした中西部地域(注2)で生産される。サトウキビ生産量とATRの減少に加え、サトウキビの製糖仕向け量の増加によりサトウキビ由来エタノールの生産量は減少し、この一部をトウモロコシ由来エタノールの生産量増加が補っている。
 ブラジルサトウキビ産業協会(UNICA)が2025年10月30日付けで公表した「10月上旬のサトウキビ収穫報告」によると、25/26年度4月から10月2週までの中南部地域(注2)におけるサトウキビの製糖仕向け割合は、52.4%(前年同期比3.6ポイント増)と前年度を上回っている。しかし、直近10月上旬2週間の製糖仕向け割合は、48.2%と減少傾向にある。CONABによると、サンパウロ州の工場では、砂糖生産からエタノール生産にシフトする傾向が強まっており、これは9月以降エタノール価格が砂糖価格を上回り始めたことでより顕著になったとしている。当初この傾向は一時的なものであったが、砂糖国際相場の下落により、多くの工場で操業コストが見合わなくなったことで継続した。ニューヨーク粗糖先物相場(3(がつ)(ぎり))は、5日に1ポンド当たり14.11セント(注3)20年10月以来となる安値を記録している。
 
(注2)ブラジルのサトウキビ生産は、主に中南部と北部・北東部で行われている。生産量の9割を占める中南部には中西部(ミナスジェライス州、ゴイアス州、マットグロッソドスル州など)、南東部(サンパウロ州、マットグロッソ州など)、南部(パラナ州など)が含まれる。
(注3)1ポンドは約453.6グラム、1米セントは1米ドルの100分の1。
表2

砂糖輸出量はかなりの程度減少、エタノール輸出量はかなりの程度増加

 ブラジル開発商工サービス省貿易局(SECEX)によると、2025/26年度4月〜9月までの砂糖輸出量は1770万トン(前年同期比9.0%減)とかなりの程度減少した(図1)。主な輸出先は中国、インド、インドネシアであり、これら3カ国で砂糖輸出量全体の31.6%を占めている。一方、同期のエタノール輸出量は8億6806万リットル(同26.5%増)と大幅に増加した(図2)。主な輸出先は、韓国、米国、オランダであり、これら3カ国で輸出量全体の75.0%を占めている。
図1
図2
【調査情報部 峯岸 啓之 令和7年11月11日発】
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農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
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