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NZフォンテラ2026年の見通しを発表、新たな価値創出に注力(NZ)

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 ニュージーランド(NZ)乳業最大手のフォンテラ社は2025年12月11日、年次総会を開催し、26年の事業見通しを発表した。同社は25年10月の臨時総会で消費者向け等事業の売却を決定(注1)しており、この事業戦略転換後の年次総会における経営陣の発言に注目が集まっていた。
  同社のハレルCEOは、最初に24/25年度の好調な業績を強調して伝えた。特に同社の乳固形分仕向け量の33%を占める原料供給部門の高度・特殊製品向け(機能性たんぱく質、乳糖など)は、他の販売チャネルより利回りが高く、同年度は資本利益率19%を達成している(図1)。また、外食産業向けの製品部門では、UHTクリーム(注2)、バター、モッツァレラチーズの販売数量が増加したとしている。

(注1)海外情報「フォンテラ社、消費者向け事業などの仏ラクタリス社への売却に合意(NZ)」をご参照ください。 
(注2)140〜150℃、2秒間で超高温瞬間加熱殺菌されたクリーム。
図1
 続いて、消費者向け等事業の売却について触れ、資本を集中させることで、同社の原料ブランド「NZMP」と外食産業向けブランド「Anchor Food Professionals」を通じたさらなる価値の創出を図っていくための体制整備を進めていくと説明した。その具体例として、同社は、24/25年度に先進的な高機能たんぱく質の生産拠点とするため、NZ南島にあるスタッドホルム工場に7500万NZドル(68億7300万円:1NZドル=91.64円(注3))、UHTクリームの製造拡大を図るため、同じく南島にあるエデンデール工場に1億5000万NZドル(137億4600万円)を投資している。加えて、25年10月にはバターの生産能力拡大に向け、南島のクランデボーイ工場に7500万NZドル(68億7300万円)の投資を行っており、今後さらに10億NZドル(916億4000万円)規模の追加プロジェクトへの投資を計画しているとした(図2)。
 
(注3)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2025年11月末TTS相場。 
図2
 同社はこれらの投資により乳製品の付加価値を高め、27/28年度までに売却した消費者等向け事業分が含まれる24/25年度の収益水準まで戻すことを戦略目標として示している。
 
 最後に今後の乳価の見通しについて、25/26年度の乳価水準は、生乳の固形分1キログラム当たり9.00〜10.00NZドルと予測した。これは以前の予測値から下方修正されており、その理由として世界的な生乳生産量増加が乳製品国際価格に下落圧力をかけていることを挙げていた。
【調査情報部 令和7年12月16日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-9532