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EU産豚肉に対し中国がアンチダンピング関税賦課を開始(EU、中国)

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 EU産の豚肉および副産物について、中国商務部は2025年12月16日、ダンピングと同国豚肉産業への損害との因果関係を認定し、アンチダンピング条例に基づき最大19.8%のアンチダンピング関税を賦課すると発表した(注1)。同関税は12月17日から適用され、期間は5年間とされる。輸入事業者は同日以降、対象製品(注2)を輸入する際、輸入貨物の課税価格に基づきアンチダンピング税率相当の関税を支払う必要が生じる。また、同年9月10日から12月16日まで暫定的に措置されていた最大62.4%の税率との差分については、超過分が返還され、不足分の追加徴収は行われない。
 
(注1)中国商務部は、アンチダンピング調査を2024年に開始し、25年9月からアンチダンピング関税を暫定的に措置していた。詳しくは、海外情報「EU産豚肉に対する中国のアンチダンピング調査が開始(EU)」および「EU産豚肉に対し中国がアンチダンピング関税を暫定的に措置(EU、中国)」をご参照ください。
(注2)対象製品の関税分類番号は、02031110、02031190、02031200、02031900、02032110、02032190、02032200、02032900、02063000、02064100、02064900、02091000、05040011、05040014、05040029、05040090(枝肉、食肉、くず肉、脂肪、動物性生産品(内臓、内臓加工品など))。このうち05040029および05040090の豚肉由来でないものは対象外。

輸出事業者ごとに関税率が適用

 対象製品に課される税率は輸出事業者ごとに異なる。中国向け豚肉および副産物の輸出量上位3社のうち、個別審査が行われたスペインのリテラミート社は4.9%(15.6%)(注3)、デンマークのデニッシュ・クラウン社は18.6%(31.3%)、オランダのヴィオン社は19.8%(32.7%)となった。このほか、アンチダンピング調査に協力的とされた企業には一律9.8%(20.0%)、その他の企業には19.8%(62.4%)の税率が適用される(注4)
 
(注3)カッコ内の税率は9月10日から措置されていた決定前の暫定税率。
(注4)企業ごとの税率については、同国商務部による公表の別添をご参照ください。

関係者の反応

 現地報道によると、この度の関税賦課の開始は、中国向け輸出量の多いスペイン、オランダおよびデンマークへの影響が大きいとされる。特に副産物はEU域内での消費量が少なく、中国市場の需要は大きいため、重要な輸出先とみられている。最終税率は暫定税率から大幅に引き下げられたものの、企業間での税率差が大きく、競争条件が不平等なものとなるとの指摘もある。その結果、対象製品のEU域内価格に下落圧力が生じるとの見方が示されている。
 一方、最も低い税率となったリテラミート社を擁するスペインのスペイン白豚生産加工者協会(INTERPORC)は、税率の引き下げはスペイン企業にとって重要であり、ここ数カ月の「中国当局との緊密な技術的・外交的協力」の成果であると強調した。
 なお、スペインは11月12日、中国との間でアフリカ豚熱に関する地域主義の協定に署名しており、11月28日にアフリカ豚熱が確認されたバルセロナ県以外の豚肉製品については中国向けの輸出が可能となっている。
【渡辺 淳一 令和8年1月19日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:調査情報部)
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