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連邦最高裁判所判決に伴い、新たな関税措置を発表(米国)

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 米国の連邦最高裁判所は2026年2月20日、昨年以降米国が導入した世界各国・地域に対する相互関税・追加関税について、国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づいて課された関税を無効とする判決を下した。米国政府は同日IEEPAに基づく相互関税・追加関税を解除する大統領令を発令したが、通商法122条に基づき世界各国・地域に対して10%関税を上乗せする新たな大統領令を発令した。なお、新たな関税については、牛肉などの一部の品目は関税が課せられる範囲から除外される。

1.連邦最高裁判所判決の概要

 米国においては、IEEPAに基づき世界各国・地域に対する関税措置が2025年以降導入されている。同年3月には違法なオピオイド系麻酔用鎮痛剤(フェンタニル)流入に対する措置として、カナダ、メキシコ、中国に対して追加関税を課す大統領令が発効し、4月には日本を含む世界各国・地域に対する新たな相互関税措置が発効していた(注1)

(注1)経緯については海外情報「米国食肉業界、関税措置による食肉輸出への影響を懸念(米国)|農畜産業振興機構」、「米国の追加関税措置について、日米合意を踏まえた大統領令を発令(米国)|農畜産業振興機構」も併せてご参照ください。

 今般の連邦最高裁判所における判決では、課税に関する権限については連邦議会に認められている中で、IEEPAにおいて大統領に対しては同権限が委譲されていないと判断された。そのため、IEEPAに基づき大統領令として導入された相互関税・追加関税は同法に基づく権限を欠き、違法・無効と評価され、その効力を失う結果となった。この判決を受け、米国政府は2月20日、該当する相互関税・追加関税を解除する大統領令を発令したが、関税の還付については明文化されておらず、具体的な時期や方法については不明のまま(注2)となっている。日本については、25年4月5日以降導入された相互関税が還付対象となり、牛肉を例にとるとこれまでの相互関税と還付対象については下記図の通りである。

(注2)関係者の間では、還付を受けるには訴訟を通じた権利保全などが必要なのではないかと の懸念から、訴訟が相次いでいるが、詳細は、今後、米国国際貿易裁判所(CIT)によって審議されるとみられている。
図 米国における日本産牛肉関税率(合計)の推移

2.米国政府が新たに発表した関税措置の概要

 2026年2月20日、連邦最高裁判所による相互関税・追加関税に対する判決が言い渡された後、米国政府は通商法122条(注3)に基づき、世界各国・地域に対して10%の関税を上乗せする新たな措置を発表した。新たな関税措置については、米国東部時刻同年2月24日午前0時01分から施行され、7月24日午前0時01分までの150日間の間有効とされているが、連邦議会の承認があれば延長される可能性がある。なお、2月21日、トランプ大統領は自身のSNSにおいて「同関税を15%に引き上げる」と表明しているものの、具体的な時期や措置内容は明らかにされていない。

(注3)深刻な貿易収支(赤字)への対処、米ドルの急激な下落の回避などに対する措置として、最大15%の一時的な関税の上乗せ、輸入割当の導入又は両方を最長150日間講じることができると定める規定。
 
 新たな関税措置について、その適用除外品は、HSコード別に分類すると以下の通りある。
-  2類:牛肉(冷蔵および冷凍)、牛の舌・内臓(冷蔵および冷凍)
-  7類:生鮮トマト、一部のイモ類(さといもなど)、たけのこ、乾燥しいたけ
-  8類:オレンジ、ライムなど
-  9類:茶・コーヒー、香辛料
- 16類:牛肉加工品
- 20類:調整たけのこ、一部の味噌・豆製品・ナッツや果実・植物の調整品、オレンジ果汁
- 21類:茶・コーヒー抽出物
- 22類:清涼飲料水として分類されるオレンジジュース
 
 これまでの相互関税・追加関税と同様に除外規定が存在し、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の原産地規則を満たす牛肉や豚肉などの製品については除外されている。また、米国内で自給・生産できない品目や供給が不足している天然鉱物や医薬品の原料や一部の農産物などについても除外対象となる。なお、前述の適用除外品は25年11月、相互関税・追加関税から除外された品目と一致している(注4、5)
 
(注4)詳細は海外情報「牛肉を含む特定の農産物などに対する相互関税およびブラジル向け追加関税を撤廃(米国)|農畜産業振興機構」も併せてご参照ください。
(注5)HSコードと対象品目については、米国ホワイトハウスに掲載されるファクトシート及び農林水産省公表資料などをご参照ください。また、商品ごとの実際のHSコードについては商品の形態などに応じて米国の税関で判断されますので、輸出を行う際には事前に米国の税関当局までご確認ください。
【調査情報部 令和8年2月27日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-9532