畜産 畜産分野の各種業務の情報、情報誌「畜産の情報」の記事、統計資料など

ホーム > 畜産 > 海外情報 > 2026年 > 中国政府、養豚目標数の下方修正を予告、中国で食料需要の減少が継続(中国)

中国政府、養豚目標数の下方修正を予告、中国で食料需要の減少が継続(中国)

印刷ページ
 中国では工業、農業を問わずほぼすべての生産が過剰となっている。複数の畜産関係団体も年次総会などでは、人口減少と景気不振による需要の減少が将来も続くとし、業界が生き残るためには生産物の高度加工や輸出促進が必須であると決まり文句のように唱えられている。
 このような中、中国畜産物の中で最も厳格な生産調整が行われている養豚業について、2026年3月19日、中国農業農村部が養豚企業と座談会を行い、減産への協力と需要に見合った出荷調整をするよう求めていたことが明らかとなった。畜産関係のメディア情報を基に、中国養豚業の現状および政府による生産調整の状況を紹介する。

下落が続く豚肉価格

 3月21日、中国の「外三元」(外国から導入されたデュロック、ランドレースおよび大ヨークシャーから産出された豚の総称。中国産豚の90%以上を占める)の生体豚の平均価格が、1キログラム当たり9.83元(230円)(注1)と直近7年間の最低価格を更新した。中国養豚業界では1キログラム当たり10元(234円)が経営を維持できる下限であるとの認識が一般的で、10元前後での価格安が続く今の状態は、アフリカ豚熱の発生で豚肉消費が落ち込んだ2018年に次ぐ苦境であるという(この10年間の最低価格は18年第二四半期の9.92元(232円))。
 
  (注1)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均為替相場」の2026年3月末日TTS相場である1元=23.41円を使用した。

 生体豚の取引価格は2026年、特に3月に入ってから急激な落ち込みを見せ、農業農村部の公表によると、子豚取引価格は、3月第2週は第1週に比べ2%下落し、前年同期比でみると27.1%の下落となった。豚肉先物取引の専門家は、「養豚業界は25年9月下旬から赤字状態になり、26年1月には一時的に黒字となったが、春節(旧正月。26年は2月17日)以降は加速度的に経営が悪化し、多くの企業が流動資金に困難を抱えつつある」とした。
 豚肉価格と明らかな対比を見せているのは飼料価格である。大豆かすは今年に入って11%、トウモロコシはこの半年で8%価格が上昇しており、同専門家は今後も2カ月は上昇傾向が続き、養豚企業の経営がより厳しくなるだろうとする。
 養豚業上場企業19社の1月および2月の簡易業績発表によれば、業界最大手の牧原は売上げがそれぞれ前月比11.9%(1月)と24.0%(2月)下落し、この理由は豚肉関連商品の販売不振にあるとした。同じく大手の温氏は2月の売上げが39.6億元(927億円)で、同15.6%下落し、25年1年間で最低となった同年同月に比べてさらに15.8%低い売上げであった。これらの企業はいずれも流動資金には余裕があり、経営には問題がないと発表している。
 

農業農村部、豚の飼養頭数の下方調整に言及

 養豚業界の現状に鑑み、2026年3月3日、農業農村部は主要な養豚企業を集め、「今後、母豚の飼養頭数目標を(現在の3900万頭前後から)3650万頭に引き下げる予定である」と通知した(注2)。同日の2日後(3月5日)には全国人民代表大会(日本の通常国会に相当し、二週間程度続く)が開催されるタイミングで、代表(日本の国会議員に相当)の中には養豚業界の関係者が複数含まれることを見越し、これらの者、ひいては養豚業界を代表する各企業に対して、企業の社会的責任を果たし、率先して政府方針に協力し、政策が成果を上げるよう減産を促す意図がある。
 大会終了後、同部は再度座談会を召集し、改めて生体豚価格の厳しい状況を紹介した上で、政府は既に豚肉の貯蔵数量を増やす準備を進め、関係機関に具体的な指示を出しているとした。また、参加企業に対し、減産への協力と、需要に見合った出荷調整を適切に行うことを改めて求めた。養豚企業が対象の座談会は2025年9月以降3回目で、極めて異例なことである。減産によって養豚業界を安定させるとの政府の強い意思を示すものと言えるだろう。
 
  (注2)中国農業農村部による母豚の飼養頭数を通じた生産調整については、海外情報「中国農業農村部、豚の飼養頭数調整のための方策を改訂(中国)』(令和6年3月12日)をご参照ください。
【調査情報部 令和8年4月6日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:調査情報部)
Tel:03-3583-9532