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上海で「乳タンパク質市場フォーラム」が開催、業界関係者が講演(中国)

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 中国の乳製品関係の団体「DAIRY ONLINE」(乳業在線)は2026年3月16日、上海市で「乳タンパク質市場フォーラム第2回」を開催した。
 同フォーラムには中国農業大学などの研究機関、貿易機関のほか国内外の乳製品関係企業から100名余りが参加した。その主な内容を紹介する。

現下の中国における乳タンパク質市場の状況

 これについて、各登壇者は次のように紹介した。

上海乳業産業協会

 2022年以来、中国の生乳価格(1キログラム当たり)は価格が良いときには4.48元(105円)(注1)を記録したが、現在は3元(70円)程度で推移し、この15年間で見ても最低価格を更新した。酪農業は総じていえば90%程度が赤字で、過剰生産が突出した課題となっている。消費構造も変化しており、需要量は減少する一方、安価な外国製乳製品の輸入は増加しており、需給バランスの乱れが経営状況を一層厳しくしている。
  このような状況に対処するためには、1)安定生産、すなわち量の拡大から質や効率性向上への転換、2)飼養農家と生乳取り扱い企業の一層の協調と利益の適正配分、3)より高度な乳製品加工−を突破口として産業構造を転換するほかないとしている。
 
  (注1)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均為替相場」の2026年3月末日TTS相場である1元=23.41円を使用した。

北京康比特体育科技股分(注2)有限会社

 中国ではタンパク質市場が注目されており、中でも「運動タンパク市場」は有望である。アスリートだけでなく運動を趣味とする消費者も良好なタンパク質の摂取を心掛けるようになり関連商品の売上げが伸びている。2025年の中国の運動栄養市場は約100億元(2341億円)で、全世界で見れば304億ドル(4兆8908億円)(注2)である。一人当たりの消費額で見れば中国は約1ドル(161円)と欧米の平均50ドル(8044円)にはるかに及ばず、その成長余力は非常に大きい。
 必要なことはこのような市場に合う技術革新であり、タンパク吸収効率が高い商品の開発や微生物発酵の一層の利用、また、多様化する飲食場面に合う商品、例えば、高タンパクなアイスクリームやプロテインバーなど、ジムから日常生活のあらゆる場面に適した商品の開発を進めていくことが必要である。
 
 (注2)中国語では、にんべんに分と表記。
 (注3)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均為替相場」の2026年3月末日TTS相場である1ドル=160.88円を使用した。


 

今後の乳タンパク質市場の方向性

 このことについて、本大会主催者DAIRY ONLINEが総論を、また、乳製品業界大手の蒙牛グループが自社の取り組みを次のように紹介した。

DAIRY ONLINE

 25年、乳製品業界は中国だけでなく世界的にも転換期を迎えた。今後業界として取るべき方向は次のように集約される。
 (1)全世界で企業再編が加速し、供給構造が変化している。中国でもトップ企業が不採算部門を清算し、競争力のない部門は整理した上で乳清タンパクなど高付加価値商品への重点化を進めており、このような取り組みは今後も続けられる必要がある。
 (2)業界で力を合わせて商品開発と輸出を進めるべきである。25年の中国製バターの輸出量は8400トンに達し、チーズも初めてロシアに輸出されるなど、中国産乳製品の国際化は着実に進んでいる。これを推し進めるため、機能性乳製品の開発やデジタル技術を活用した生産のレベルアップなど、量から質への転換によって業界の競争力を高める必要がある。
 (3)新型消費がもたらす利益を取りこぼさないことである。市場は細分化され、ペット関連商品、運動栄養、老人栄養といった特定の市場が目立った伸びを見せている。乳タンパク質を取り入れた商品も各消費場面に応じて提供されるようになり、運動時に手軽にタンパク補給ができるもの、ペットの健康増進に資するものなどが売上げを押し上げている。このような変化が今後、乳業がレベルアップする上で、転換の核となるだろう。

蒙牛グループ

 世界的に乳製品の供給が不足している中、中国企業はその不足を補う大きな潜在能力を持っている。現在、蒙牛グループはオランダのあるセンターと協力してグローバル市場の需要を分析し、現代社会により適した商品の提供に向けて研究開発を進めている。目標は3年以内にあらゆる乳製品を国産化し、それを実際に市場で販売することであり、かつ、それによって川上から川下まですべての業務用商品を提供できるブランドとなることである。品質が長期に安定していることは顧客からの信頼を確保する大前提であり、そのためにも当面は欧州を代表する企業から多くを学びたい。
 
【調査情報部 令和8年4月6日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:調査情報部)
Tel:03-3583-9532