欧州委員会は、現時点で肥料供給に問題はないが、価格上昇が続けば次期播種に向けた肥料購入が控えられ、減産となる事態が懸念されるとした。これに向けた短期的な対策として、農業予備費の大幅な増額を提案した。次の生産サイクル前に農業者の資金繰りを即時に支援するため、夏までに詳細を提示する予定である。また、これに加えて、現行の共通農業政策(CAP)予算の範囲内で、新たな融資制度や前払いの柔軟性向上、施肥効率の向上やバイオマス由来肥料への切り替えなどに対する取り組みへのインセンティブの強化、などの対策を含めた措置を行う。
域内供給能力の向上に向けた取り組みとしては、特にバイオマス由来肥料の開発と普及を支援するとし、窒素施用量の上限などを定める硝酸塩指令の見直しを挙げた。当該指令に関しては、2026年2月に堆肥由来の再生窒素肥料(REcovered Nitrogen from manURE、RENURE)について、一定の条件下での施用量の上限緩和措置を導入している
(注1)。この緩和措置の対象として、バイオガス生産の副産物である発酵残さ(消化液)を追加し、次期作付けまでに活用可能とすることを目指す。また、家畜排せつ物などの有効活用のため、廃棄物に関する法令の見直しを行う。このほか、肥料サプライチェーン全体における透明性と対話の強化のため、肥料生産者、農業者、加盟国による「EU肥料バリューチェーン・パートナーシップ」を立ち上げ、肥料の供給、生産、販売、使用における課題解決に向けた方策を検討・策定する。
本計画とは別に、欧州委員会は、EU域内の農業生産で使用される主要な窒素系肥料(尿素やアンモニアなどの肥料原料を含む)に対する輸入関税の1年間の適用停止を提案し、EU理事会は5月22日に同提案を承認した。なお、本措置はロシア産およびベラルーシ産には適用されない。無税対象数量は、24年の最恵国待遇(MFN)輸入量に、同年のロシアおよびベラルーシからの輸入量の20%を加えた合計が上限とされた。
(注1)詳細は、海外情報「欧州委員会、堆肥由来窒素「RENURE」の使用に関する指令を制定(EU)」をご参照ください。