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米国のテキサス州において、ラセンウジバエの発生を確認(米国)

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 2026年6月3日、米国農務省動植物検疫局(USDA/APHIS)は、テキサス州ザバラ郡の牛からラセンウジバエ(NWS:New World Screwworm)が検出されたことを発表した。NWSは生体の牛や他の動物の体内でしか生存できないことから、牛肉や関連製品の輸出入には影響が無いと考えられるが、生体の取引への影響が見られている。

1.これまでの米国でのNWS対策

 NWSは、牛をはじめ家畜、野生動物、愛玩動物、そして、まれに鳥類やヒトにも寄生する可能性がある。NWSは、動物の傷口などに卵を産み付け、幼虫が動物の組織へ寄生することで宿主に被害を与える。多数の幼虫が寄生した場合は致死的な影響があるなど、家畜に深刻な被害を与え、もたらされる経済的損失は大きい。このため、米国では1957年から不妊化ハエを活用したNWSの撲滅対策が講じられ、66年には米国全土で根絶され、91年にはメキシコにおいても根絶が宣言された。その後、2016年10月にフロリダ州でNWSが確認されたが、17年3月には再び米国から撲滅された。
 24年11月、メキシコ当局はグアテマラ国境に近いチアパス州でNWSが検出されたことを発表しており(注)、その後メキシコ内において検出エリアの北上が続いていた。
(注)詳細については海外情報「米国農務省、メキシコからの生体牛輸入再開に関する手順書に署名(米国)」(令和6年12月26日発)も併せてご参照ください。
 
 米国においては、メキシコからのNWS侵入防止のため、生体牛の輸入を停止するとともに、発生に備えマニュアルの整備や、家畜や愛玩動物向けの寄生虫対策のための動物用医薬品の緊急承認などを実施してきた。マニュアルには害虫の管理(ペストコントロール)やNWSに対する監視・防除方法などが記載されており、随時改正がなされている(図1)。米国は24年まで毎年100万頭以上の生体牛をメキシコから輸入していたため、NWS発生に伴う生体牛の輸入停止は、米国内での牛肉生産量の減少につながり、メキシコからの牛肉輸入量の増加にもつながっていた。
図1 USDA APHISが公表したラセンウジバエ(NWS)緊急対策

2.2026年6月のNWSの検出について

 USDA/APHISの発表では、今般のNWSは、テキサス州ザバラ郡で飼養されていた生後3週間の子牛から検出された。その後も複数の検出事例が報告されており、26年6月23日時点でテキサス州およびニューメキシコ州において合計16件の家畜(牛、山羊、綿羊)および愛玩動物(イヌ)からの検出事例が報告されている(図2)。これらの検出を受け、USDAとテキサス州当局は、NWSの封じ込めと撲滅に向け、以下の対応を実施している。
(1)USDAとテキサス州が合同で緊急対策本部を結成し、対応する職員を現地に派遣
(2)NWS検出地点から周辺20キロメートルを発生区域と設定し、この区域内で隔離、移動制限、監視強化を実施
(3)検出地域で既に実施している不妊化ハエの放飼(空中放出)に加え、地上放飼用ケージを現地に配置し、よりターゲットを絞った放飼を強化
(4)メキシコとの国境沿いおよび拡散域の外側におけるNWSの捕獲強化
(5)野生生物におけるNWSの監視を強化
(6)地域における啓発活動の実施
図2 米国におけるNWSの検出が報告された地域

3.米国産牛肉輸出や生体牛輸出への影響について

 現在、NWSが検出された農場においては、家畜への治療や隔離による拡大防止を原則としており、家畜の淘汰は行われていない。また、周辺地域で家畜の移動制限と監視強化が行われている。また、食肉処理場ではUSDA食品安全検査局(FSIS)による検査が行われ、この検査過程においてNWS寄生の有無が特定されることから、寄生した家畜由来の汚染された食肉がサプライチェーンに入ることはないとされている。このため、USDAは食肉のサプライチェーンにおいて食品安全への影響はないと発表している。また、国際獣疫事務局(WOAH)の陸生動物衛生規約(Terrestrial Code)によれば、NWSの幼虫は、死んだ組織や動物製品の中では長期間生存できないため、これらの製品に対する輸出・輸入規制は必要ないとされている。2026年6月23日時点で、米国産牛肉などに対してNWS検出に伴う輸入制限を講じている国・地域はない。
 一方で、カナダは6月5日、検出された地域からの馬を含む家畜のカナダへの持ち込みに対し、一時的な輸入制限を実施すると発表した。具体的には、テキサス州を原産地とする生体または国境通過前の21日以内に同州に滞在歴のある生体は、カナダへの輸出ができない。また、メキシコも、メキシコ農業・農村開発省(SADER)とUSDAが連携し、NWSが発生していない北西部地域の家畜への被害防止および動物衛生上のステータスの維持を目的に、6月9日から米国からの生体の輸入を一時停止することを発表している。
【調査情報部 令和8年6月25日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-9532