カナダ政府は9月26日、カナダの首都オタワでEUとの包括的経済・貿易協定(CETA)および戦略的連携協定(SPA)に合意したことを発表した。今回の合意を受けカナダ政府は、「両国は今まで以上に強力かつ親密な経済連携を図り、幅広い分野での両国の協力関係を確立する」との声明を出すとともに、当該協定は「両国の持続的な発展に加え、両国の国益を高める」としている。
今回の合意内容では、カナダはEUに対し特に乳製品の分野で譲許しており、地理的表示(GI:Geographical Indications)に関しフェタチーズ(ギリシャ原産)、ムンスターチーズ(フランス原産)、ゴルゴンゾーラ(イタリア原産)などを含め計55品目のチーズ名をGIとして認めるとしている(表)。
また、チェダーチーズ、カマンベールチーズ、ゴーダチーズなどは、関税割当数量を上限として関税を即時撤廃するとしている。しかし、関税割当数量の超過分については、関税が課せられることとなっている。
今回の合意内容に関して、米国乳製品輸出協会(USDEC)は9月29日、当該協定は、カナダ市場への米国産乳製品の貿易に支障を与えうるとの声明を発表した。同協会の副会長であるジェイミー・カスタネダ氏は、今回のカナダの行為は、TTP(環太平洋戦略的経済連携協定)交渉に期待していた米国の乳製品業者の予想を打ち崩すだけでなく、米国とカナダの乳製品の関税交渉を水の泡にするものだと非難している。