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2017年の食品安全性確保のための重点対策方針を公表(中国)

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 中国農業部は2月7日、農産品の品質確保とトレーサビリティの確立などのための「2017年農産品質量安全工作要点」を公表した。主な目標として、(1)農業生産の大規模化を加速させる、(2)法的措置の執行、管理を強化する、(3)各種監督、検査および評価業務を強化する、(4)農産品の品質安全モデル地域(全国107県)の取り組みを発展させる、(5)トレーサビリティ体系の確立を加速する、(6)緊急事態への対処能力を強化する、などとしている。  
  特に、トレーサビリティについては(4)のモデル地域を中心に、リンゴ、茶、生体豚、生乳、水産品などについて優先的に試行的導入をするとし、トレーサビリティ事業実施のための運営メカニズムの改善と最適化に取り組むとしている。

  また、上記の公表に関連して、3月16日、「2017年農産品の品質安全のための特別対策案に関する通知」(農質発[2017]6号)が公表され、食品安全の確保に重大な影響を及ぼす、以下の7項目について、重点的に取り組むとしている。 
  同国では国産食品の安全性を脅かす事件が多発しており、政府は関係部局の連携を強化し、厳罰の実施や違反事例の公表などによって、国産食品に対する消費者の信頼を回復し、国内農業の健全な発展に資することとしたいとしている。
(1) 農薬の適正使用対策  
  農薬の適正使用について定めた「農薬管理条例」に基づき、偽造商品の市場抽出検査の強化や、高毒性薬品の販売・保管管理規則の強化、農産品の農薬成分残留を防止するための適正使用訓練や啓蒙活動を実施することとされた。
(2) β作動薬使用の重点監視  
  中国では食肉の生鮮流通における赤身の鮮やかな肉への需要が高いことから、赤身を増す効果があるとされるラクトパミンなどのβ作動薬の違法使用が絶えない。こういった状況を打開するため、特に牛や羊の国家重点飼養地域やと畜場を中心に、生産・流通段階の抜き取り調査や、その結果を受けた流通の川上への遡及調査態勢を強化し、違法行為に対する罰則を強化するとした。  なお、2017年5~10月の期間に重点的に抽出調査を行うとしている。
(3) 生乳流通適正化のための特別対策  
  乳製品生産に当たって、特に酪農家が生乳を出荷する集乳ステーションから乳業工場へ生乳が運搬されるまでの過程で、輸送業者などの介入による違法な添加物の混入、検査で不合格した生乳の転売、生乳の奪い合いなどの行為が散見される状況にある。  同対策では、重点酪農生産地域で生産される育児用調製粉乳の原料乳の流通過程を中心に、集乳ステーションや輸送車両の監視を強化するとともに生乳の検査頻度を高め、違法行為に対し厳罰を当てるとした。  具体的には2017年3~8月の間に関係省へ検査団を派遣し重点調査を実施するとしている。
(4) 家畜用抗生剤使用適正化対策  
  インターネットの通信販売で粗悪な品質や効能を現さない偽造家畜用抗生剤が広く流通する実態や、許容量を超えた違法な抗生剤の使用がある現状に鑑み、同対策では大規模家畜飼養農場や畜産の盛んな県を中心に、表示の適正化や基準に合致した処方を推進するため、農場への立ち入り調査や通信販売サイトの監視を厳格化し、虚偽の表示や規則違反が発見された場合は法的措置を執った上で違反者の通信販売サイトを公表することとした。
(5) 生体豚の流通適正化対策  
  生体豚の流通に当たっては、個人による違法と畜や、病死豚のと畜、β作動薬の使用、水やその他の物質の注入などの違法事例が見られることから、豚肉生産と流通の健全な発展を推進することで国産豚肉の品質と安全性を向上するため、違法行為に対する取り締まりを厳格化するとした。また、関連して病死豚の処理に対する助成措置や動物検疫の適正な実施を行う。
(6) 水産養殖用禁止薬剤の重点監視  
  水産養殖の主要品種であるヒラメ、ボラ、スズキの3種について、特に使用が問題となっているニトロフラン類やマラカイトグリーンの違法使用に関する監視を強化するとした。
(7) 農業資材流通適正化対策  
  農業資材に関しては、違法な販売や偽造品の流通が見られるため、重点管理品目(種子、農薬、肥料、家畜用医薬品、飼料および飼料添加剤)について市場監視や調査摘発を実施し、法的処罰と是正措置、事例の公表を行うとしている。特に、一般国民からの違法事例の告発を推奨するとしている。  

  政府は以上の各項目の対策を実施するため、関係部局に年間行動計画の策定を求めているほか、公安部局との連携により、違反者に対し適切な法的措置を執るとするほか、12月には、重大な違反事例を公表し、再発防止に努めるとしている。また、一般国民からの積極的な違法事例の告発を奨励するとし、関係する地方政府部局には7月、10月、1月の各10日までに違反事例に対する対処実績をとりまとめ報告するよう求めている。
【木田 秀一郎 平成29年4月13日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
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