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農産品等に適用される増値税が減税へ (中国)

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 中国では、物品の販売・輸入や、役務の提供にあたって、法人または個人に増値税と呼ばれる内国税が課されることとされている。このたび、2017年4月19日に開催された国務院の常務会議において、同年7月1日から増値税が改定され、税率区分が整理されることが決定された。
 従来、増値税の税率区分は、17%、13%、11%、6%の4段階となっていた。これは、基本税率は17%であるものの、食料などの生活必需品については減税措置が採られてきたためで、農産品については財政部国家税務総局の[(94)財税字第4号]通知に基づき、1994年5月1日以降、その多くが13%に低減されていた。
 今回の改定により、13%の区分が廃止され、3段階となる。これに伴い、農産品や天然ガスなど従来13%が適用されてきた物品は、2%減税され11%となる。このため、7月1日以降、輸入農産品に関しては、関税分類番号4類の乳製品や、16類以降の肉調製品などの調製食料品の多くは17%が適用されている一方、トウモロコシや大豆などの穀物を始めそれ以外のほとんどの農産品は11%となることから、一般に輸入原材料の価格優位性が高まることになる。
 現地報道によると、例えば、大豆では7月1日以降港に到着したものは1トン当たり60元(960円:1元=16円)程度コストが削減されることになる注1との見解もあり、近年増加傾向を続け、2016年には8300万トンに達した大豆の輸入量が、この措置の影響で今後さらに増える可能性がある。
 また、今回の改定では、併せて農産品加工企業が納める増値税額について、製品販売に係る増値税を減少させる注2一方、税率変更による納税負担を適正化するため、原料農産品を仕入れる際の控除額を維持することとしている。
注1:2016年の大豆の平均輸入単価は、1トン当たり2722元(4万3552円)。
注2:具体的な計算は以下の通り。仕入れと販売の時間差で、7月1日前後の移行期に仕入れと販売に係る税率が異なる状態が発生する。
   (農産品加工企業が納める増値税額)
    =(製品販売時の税額)-(原料農産品仕入れに係る税額)   
    ={(販売価格)×(税率)}-{(仕入れ価格)×(仕入れ時の税率)} 
【木田 秀一郎 平成29年5月11日発】
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農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
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