欧州委員会は8月1日、同日始まった新学期から、新たに一本化された学校給食用果実・野菜・牛乳供給事業を開始したことを発表した。
EUでは、共通農業政策(CAP)のもと、学校給食用として、1977年から牛乳供給事業(School Milk Scheme:SMS)、2009年から果実・野菜供給事業(School Fruit Scheme:SFS)がそれぞれ実施されてきたが、2016年4月、児童生徒の健康的な食生活を促進するため、より効率的で、より焦点を絞った支援と教育の強化を目的とした統合案が農業理事会で承認され、2017/18年度(8月~翌7月)に両事業が一本化されることとなっていた。
実施初年度となる2017/18年度は、2億5000万ユーロ(330億円)の予算が措置され、果実・野菜供給部門に1億5000万ユーロ(198億円)、牛乳供給部門に1億ユーロ(132億円)が配分された。各加盟国への配賦は、児童生徒数と過去の補助実績などに応じて決定され、原則として20%を上限に部門間の流用が認められているほか、各加盟国が予算を追加することも可能である。
補助対象品目は、統合前から変更されておらず、果実・野菜供給部門は、品目は各加盟国の裁量に委ねられているが、環境、季節性、地元産であることなどに配慮するとともに、砂糖、脂肪、塩、甘味料が原則として添加されていないものとされている。牛乳供給部門は、児童生徒1人につき1日当たり0.25リットルを上限とし、牛乳100キログラム当たり18.15ユーロ(2396円)が支払われるほか、乳製品などはカテゴリーごとに単価が定められている。
また、同予算は、果実・野菜、牛乳の供給だけではなく、農業への理解醸成、健康的な食生活、食品残さなどに関する教育や指導のほか、事業のモニタリング、評価などにも使用される。
欧州委員会のフィル・ホーガン農業・農村開発担当委員は新学期開始前日の7月31日、「本事業は、各加盟国の何百万人もの児童生徒の健康に寄与するのみにならず、各加盟国の何千人もの農家への重要な支援となるであろう。私は、健康的な食生活を促進する新たな本事業の実施が、各加盟国において大きな役割を果たすことを確信している」とコメントした。