オランダの農協系金融機関ラボバンクは7月、2016年の世界主要乳業メーカー売上高ランキング上位20社を発表した。
上位20社は、前年と同じ顔ぶれであったが、第2位と第3位のダノンとラクタリス、第5位と第6位のフリースランドカンピーナとフォンテラの順位などが入れ替わった。第10位の蒙牛乳業は、前年から順位を1つ上げ、上位10社に中国の2企業が入った。日本企業では、機能性ヨーグルトが好調に推移するなどして売上高を伸ばした明治が順位を3つ上げて第14位とし、唯一同ランキングに入った。
ラボバンクによると、2016年の乳業界は、前年から続いた乳製品国際価格の低迷の影響が強く、同年後半には同価格の回復もみられたものの、上位20社のうち8割で売上高が前年以下となった。同20社の売上高の合計は、前年比1.6%減、前々年比14.4%減となっている。
各企業の動向を見ると、2016年も前年に続き、規模拡大や利益率の改善を目的とした戦略的な合併・買収などが多く見られた。
第2位のダノンは、オーガニック部門の強化を図るため、米国大手のオーガニック食品製造・販売会社ホワイトウェーブ・フーズ社(WhiteWave Foods)を買収した。ホワイトウェーブ・フーズ社は、ディーンフーズの事業部門から2012年に独立し、現在は米国、欧州などに販路を持っている。
第11位のディーンフーズは、ヨーグルトなどを製造・販売する米国のGood Karma社の株式の一部を取得し、業務提携を行ったほか、同じく米国のオーガニックジュース販売会社Uncle Matt's Organic社を買収した。
第7位のアーラフーズは、1998年に子会社化したフルーツジュースなどを主力商品とするデンマークのRynkeby Foods社をドイツのEckes-Graniniグループに売却した。
ラボバンクは、今後の各企業の動向について、生乳生産が限られる中、量的な戦略よりも、商品価値に重点を置いた戦略にシフトしていくであろうとした。
また、合併・買収は、乳業界全体で2016年には73件行われたが、2017年には上半期の時点ですでに50件に達しており、今後も引き続き活発に行われるとみられている。今回のランキングで第3位であったラクタリスは、2017年に入ってダノンの米国の子会社ストーニーフィールド社(Stonyfield)と、ドイツのOmira社の買収を決定している。なお、2017年の合併・買収の半分は欧州地域で行われている。
さらに、ラボバンクは、2017年は、企業の合併・買収の活発化のほか、オーガニック市場が成長するであろうとした。