脱脂粉乳公的在庫の売渡入札、応札数量急増も落札はわずか(EU)
欧州委員会は先ごろ、11月21日に実施した脱脂粉乳公的在庫の14回目の売渡入札の結果、40トンが落札されたと公表した。応札数量が前回の20倍近い3万3195トンとなったことについて、欧州乳製品輸出入・販売業者連合(Eucolait)をはじめ欧州の乳業関係者の驚きの声が上がっている。
現地報道によると、応札したのは、ベルギー、ドイツ、アイルランド、フランス、リトアニア、ポーランド、フィンランド、英国の企業であった。
応札数量の増加は、前回の売渡最低価格が公的買入価格(169.80ユーロ(2万2923円:1ユーロ=135円))を初めて下回ったことなどが考えられる。なお、公的買い入れは毎年3月から9月の間に実施されることとなっているため、現在は実施されていない。
今回の売渡最低価格は、100キログラム当たり139.02ユーロ(1万8768円)と過去最低となった。前回よりも3.5%、直近のEU平均卸売価格(11月13日の週:151.59ユーロ(2万465円))よりも8.3%、公的買入価格(169.80ユーロ(2万2923円))よりも18.1%下回っている。
売渡最低価格について、欧州委員会は当初より、一連の売渡入札の目的は在庫の削減ではなく、あくまで需給バランスの均衡としており、米国などの価格を鑑みて決定したと説明しているが、応札した多くの乳業関係者の要望に応えたものとはならなかった。
入札開始から1年が経過する中、依然として公的在庫は38万トン弱(EU域内の年間生産量の3分の1相当)となっており、12月12日に予定される次回の入札には欧州のみならず世界の乳業関係者から大きな注目が集まる。
【大内田 一弘 平成29年12月7日発】
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