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2020/21年度の生乳生産、過去最高を更新(NZ)

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ニュージーランド乳業協会(DCANZ)は6月22日、2021年5月の生乳生産量を97万4000トン(前年同月比7.6%増)と公表した。この結果、2020/21年度(6月~翌5月)のニュージーランド(NZ)の生乳生産量は累計で2233万9000トン(前年度比2.6%増)と過去最高を記録した。
同シーズンの生産動向を振り返ると、2020年11月は南島の西海岸の一部地域での乾燥などにより、生産量は前年同月を2.5%下回ったものの、一定の降雨により放牧環境が改善されたことで12月以降は6カ月連続で前年同月を上回っていた。同国の生乳生産量は2013/14年度に2000万トン台に乗って以降、年によってばらつきはあるもののおおむね増加基調で推移している(図)。
図 過去10年の生乳生産量の推移
現地報道によると、中国をはじめとするアジア諸国の旺盛な輸入需要を背景に、同国乳業最大手のフォンテラ社がシーズンを通して乳価の引き上げを行ったことなどを受けて、生産者が補助飼料の給餌により乾乳期を遅らせたことが増産につながった要因としている。また、酪農主産地である南島のカンタベリー地方では、2021年6月中旬の降雨で洪水が発生したもののNIWA(国立水・大気研究所)によると、土壌水分量は平均的水準にとどまったとされ、放牧環境への影響は限られたものであったとみられている。
このような中でフォンテラ社は、好調な輸出を背景に新シーズン(2021/22年)の初期乳価を、前年を上回る乳固形分1キログラム当たり平均8NZドル(640円:1NZドル=80円)と発表している。今後、高水準にある乳価が酪農家の増産意欲をけん引することで、引き続き生乳生産は好調に推移すると見込まれている。
【廣田 李花子 7月1日発】
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