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豪州の食肉団体、食肉に関する消費者意識調査結果を発表(豪州)

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 豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)は2021年9月、豪州大都市圏における食肉(牛肉および羊肉)に対する消費者の意識等調査の結果を公表した。
 この調査は、MLAがマーケティング活動などに用いるため毎年実施しており、今回はオンラインにより、18~64歳の一般消費者1510人を対象に調査が行われた。なお、回答は、いずれも2021年6月時点としている。
 特徴的な項目を見ると、「豪州の食肉産業について一定の知識を有している」と回答した者の割合は30%となり、近年上昇傾向にある(図1)。
図1
 また食肉消費者のうち、1年前との比較においては、食肉消費量が増えたと回答したのは全体の9%、変わらないと回答したのは同63%となっており(図2)、コロナ禍の継続やSDGsが注目される中でも、約7割が食肉消費量の増量志向もしくは現状維持という傾向が安定していることがわかった。特に「豪州の食肉産業について一定の知識を有している」と回答した者については、17%が食肉の消費量を増やしたと回答しており、全体の9%と比較し、高い割合となっている。
図2
 「食肉消費量が増加した」と回答した者が挙げた上位の理由は、以下の通りであった。
1.たんぱく源として摂取する
2.食肉が好きだから摂取する
3.様々な栄養源として摂取する
4.鉄分の供給源として摂取する
 一方で、「食肉消費量が減少した」と回答した者が挙げた上位の理由は、以下の通りであった。
1.価格が高すぎる
2.健康への不安がある
3.畜産業の環境問題に懸念がある
4.アニマルウェルフェアへの懸念がある

 本調査結果では、自身がベジタリアンであると主張する消費者は9%となっているが、そのうちの58%は時々肉を食べているフレキシタリアンであり、真のベジタリアンまたはビーガンである人は、4%にとどまっているとしている。
 また、豪州食肉業界が2030年までにカーボンニュートラル(温室効果ガスの排出をゼロ)にするという目標「CN30」を掲げていることを知った場合、回答者の53%が食肉業界に対してより前向きな評価をするとしている(図3)。他方で、「食肉業界について十分な知識を有している」と回答した者のうち65%は、その目標を達成できれば食肉業界に対してさらに前向きな評価をすると回答して、食肉消費量の増加と同様、より高く評価していることがわかった。
 
図3
 本調査結果では、食肉産業におけるアニマルウェルフェアや環境への影響、肉の栄養を理解するための手段として、最も多く活用されているのは、インターネットを通じた検索であることも確認された。
 MLAに対し、消費者への食肉業界に対する理解醸成の考え方や消費者へのアプローチ手法について独自取材をしたところ、「我々は、消費者のニーズや思考を理解することに加え、健康的な食生活の一環として、消費者に食肉の消費に自信を持ってもらえるようにするため、多くの活動を行っている。豪州では、特にアニマルウェルフェアと環境への影響が、広く消費者の注目を集めているが、消費者にこれらに関する食肉業界の積極的な取り組みを理解してもらうことが重要であると考えている。このため、当方ではアニマルウェルフェアや環境対策への取り組みの情報を発信する『Good Meat』や、食肉による健康的な食生活を推進する『MLA Healthy Meals』といった消費者向けのHPインターネットサイトを立ち上げ、広報を行っている」との回答があった。
【調査情報部 9月28日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-4394