2011/12年度の砂糖生産量は前年度よりやや増加見込み(ブラジル)
最終更新日:2011年4月25日
輸出量は前年度より165万トン増
米国農務省(USDA)は4月20日、2011/12年度(4月〜3月)におけるブラジルの砂糖の生産見込みを発表した。これによれば、さとうきびの生産量は前年度より2%増加し6億3100万トン、さとうきびの製糖向け割合は同0.65ポイント増加し46.6%と予測された。このため、同年度の砂糖の生産量は同145万トン増加し3960万トン(粗糖換算)、砂糖の輸出量は同165万トン増加し2730万トン(同)であることがわかった。
最終的には価格次第
ブラジルでは、自動車燃料となるエタノールは、砂糖同様さとうきびを原料としている。同発表によれば、国内で販売される一般車両の90%以上はフレックス車(FFV)であり、2020年までに全車両の86%がFFVに置き換わると予測されるが、エタノール需要は、FFVの販売台数の伸びに必ずしも比例していないようだ。すなわち、エタノール価格がガソリン価格の70%以内であれば、燃費とコストの関係からエタノールを購入したほうがコストパフォーマンスに優れているとされ、消費者は価格の安価な燃料を選択しているのが現状のようだ。一方でブラジル政府は再生可能エネルギーの利用を推進しており、ガソリンへのエタノール混合率を20〜25%(現在は25%)と義務付けている。
最近の国際価格高騰を反映し、砂糖輸出の大幅な増加が予想されたが、実際の砂糖生産量および輸出量は、ブラジル特有な事情である国内エネルギー需要をにらみながら決定されていくであろう。
USDAによる2011/12年度ブラジル砂糖生産見込みの概要は次のとおりである。
○さとうきび
・生産量
2011年に新たに稼働した製糖工場はわずか5施設であることから、前年度に比べ2%の増加にとどまり、6億3100万トン(中南部は5億6900万トン、北東部は6200万トン)の見込みである。今期は収穫の遅れが見込まれているため、大半の工場の稼働開始は例年の3月末から4月中旬以降に遅れそうである。
・単収
前年度より1ヘクタール当たり3.8トン減少し、同71トンの見込みである。これは、2009年および2010年のほ場の更新割合が平年に比べ低かったことによる。
・収穫面積
作付面積は前年度に比べ8%増加し965万ヘクタール、収穫面積は同40万ヘクタール増加し889万ヘクタールの見込みである。
○砂糖
・生産量
前年度より145万トン増加し3960万トン(粗糖換算)(中南部3535万トン、北東部425万トン)の見込みである。これは、砂糖の国際需給が引き締まっていることによる。
・消費量
前年度より55万トン増加し1255万トン(同)の見込みである。これは、人口の増加と食品加工分野の拡大が見込まれたことによる。
・輸出量
前年度より165万トン増加し2730万トン(同)(粗糖2145万トン、白糖585万トン)の見込みである。
○エタノール
・生産量
前年度よりわずか9万キロリットル多い2735万キロリットル(無水エタノール930万キロリットル、含水エタノール1805万キロリットル)の見込みである。
・輸出量
前年度より30万キロリットル少ない150万キロリットルの見込みである。
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農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
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