2013年1月からタイ全土で最低労賃300バーツの引き上げへ
最終更新日:2013年2月22日
タイでは、法定最低労賃を2013年1月から全国一律で1日当たり300バーツ(約891円、1バーツ=2.97円 1月4日TTS相場)に引き上げた。
2011年7月に行われた総選挙でインラック政権が誕生した。この新政権では、法定最低労賃を全国一律でまで引き上げることを選挙時に公約としていた。政府は2011年11月の閣議で、洪水の影響により延期されていた最低労賃の引き上げを地域によっては2012年4月から段階的に引き上げ、最終的に、2013年にタイ全土で1日当たり300バーツにすることとした。民間企業からの強い反対の中、政府は生産機械などの更新にかかる法人税の免除などといった企業支援を既に実施していることをあげ、引き上げに踏み切った。
図1のとおり、2012年4月に、タイ国内で賃金水準が高いバンコクなどの6都県(ノンタブリー、バトゥムターニー、サムットラーカーン、サムットソンクラーム、ナコーンパトム)は同215バーツから、プーケットは同221バーツから同300バーツと全国に先駆け8か月前に引き上げられた。その他70県は、2012年4月に同159〜196バーツから同222〜273バーツに引き上げられた。最終的に2013年1月に、同300バーツとなった。
その他70県のうち、さとうきびおよびキャッサバ主産地であるナコンラーチャーシーマー県の最低賃金は、引き上げ前の2011年1月時点では同183バーツであった。同300バーツに引き上げられたことで、64%増となる同117バーツ(約347円)の大幅な賃上げとなっている。今回の労賃引き上げによる生産コストの上昇は、さとうきびおよびキャッサバの生産は企業経営ではなく家族経営がほとんどであるため、さとうきびおよびキャッサバ価格にではなく、砂糖およびでん粉価格に転化されることとなる。今後の砂糖およびでん粉の生産への影響に注視が必要である。
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