米国の製菓、製パン団体などは平成27年7月2日、連名で、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の交渉妥結に当たり、砂糖の輸入規制緩和を求める文書を、米国通商代表部(USTR)あて発出した。
同文書は、国内の製糖メーカー保護のため、政府による砂糖の輸入制限や価格支持対策が行われてきたことで、ユーザーである国内の消費者や食品メーカーは、2008年以来、150億米ドル(1兆8150億円:1米ドル=121円)のコスト負担を強いられてきたことや、1997年以来、12万人の雇用が失われたことを訴えている。
また、米国政府が砂糖の輸入規制を緩和し、豪州やカナダを含むTPP交渉国に米国の砂糖市場へのアクセスを許可すれば、同国の経済全体に利益がもたらされ、多くの商品やサービスの相互の市場アクセスが促進されると強調している。
(参考)米国政府による砂糖の輸入制限
- 世界貿易機関(WTO)および北米自由貿易協定(NAFTA)のミニマムアクセスに基づき、砂糖(粗糖、精製糖)および砂糖調製品に対して、輸入割当を行う。なお、NAFTAに基づき2008年以降無税かつ無制限であったメキシコからの輸入は、輸出補助金やダンピングの疑いのため、現在は、下限価格、上限数量、期間別割当の設定により制限されている。
- 米国・中米・ドミニカ共和国自由貿易協定(CAFTA-DR)に基づき、砂糖の輸入割当を行う。
- 米国政府は、上記のように輸入量を制限している一方で、再輸出プログラム(注)を措置している。ただし、当該プログラムの利用に当たっては、米国農務省(USDA)が発効するライセンスが必要であるほか、メーカー別の上限数量(食品メーカーは9072トン(精製糖換算))や、再輸出期間(砂糖調製品は18カ月以内)が定められている。 注:輸出用の砂糖調製品や多価アルコールを製造する食品メーカーなどへの転売を目的に、粗糖を無税または低関税で輸入できる制度。
注:輸出用の砂糖調整品や多価アルコールを製造する食品メーカーなどへの転売を目的に、粗糖を無税または低関税で輸入できる制度。
【丸吉 裕子 平成27年7月9日発】