日本の畜産業は、海外の飼料資源に依存しながら着実に進展してきたが、バイオエネルギーとして配合飼料の主原料であるとうもろこしが高騰し、それに伴い原油や船舶費等まで値上がりし、そして、今日の世界的不況の影響で高級牛肉をはじめとして豚肉等の消費が落ち込むことで枝肉価格や子牛価格まで低迷するなど、外部要因により畜産経営体は厳しい状況に直面している。
これらの状況に対応するため、国は海外の情勢に左右されない自給飼料作物の増産や生産性の向上、未利用資源の確保対策等々各種の緊急施策を創設した。
鹿児島県では、さつまいもを原料としたでん粉や焼酎製造後の搾りかすといったさつまいも由来の副産物が家畜飼料として以前から注目されていたが、取り扱い面や季節が限定されるなどの理由でごく一部の畜産農家にしか利用されていなかった。
今日では発酵技術の進展によりこうしたさつまいも由来の副産物はリキッドフィードとして養豚場等で既に実用化されているが、茎葉部位についてはほとんどが畑地にすき込まれか、焼却処理されていた。
そのようなおり、鹿児島県農業開発総合センター大隅支場(以下大隅支場)において、さつまいもの茎葉回収機が開発されたことから、平成20年度から社団法人鹿児島県畜産協会が事業主体となり(独)農畜産業振興機構の補助事業(地域エコフィード利用体制確立支援事業)に各関係機関と一体となり取り組み、さつまいも茎葉が家畜の粗飼料として充分に活用出来ることが明らかとなったので、その概要について報告する。