でん粉は、植物の光合成によって産生されるリサイクル資源であり、人間の基盤素材として多岐の工業品や食品に利用されている。また、古くから貴重なエネルギー源として我々の生命を支えてきた食物成分でもある。最近では、地球環境問題から石油代替バイオエネルギーのエタノールや生分解性プラスチックの原料用にも需要が増大している。
年々変化し多様化する食生活は、でん粉本来の水に不溶である点や老化現象などの不可避な負の特性を顕在化させ、でん粉に要求する特性も厳しく高度化している。これらに対応すべく、でん粉に各種加工(酵素的、物理的、化学的)を施して、特性の改質・改善や機能性の付与・増強した種々の加工でん粉が開発されてきた。
わが国においては、化学的処理されたデンプングルコール酸ナトリウムとデンプンリン酸エステルナトリウムが1964年に食品添加物として指定され、他の化学的処理されたものは、1979年9月20日に厚生省(現厚生労働省)発、米国大使館農務参事官宛の通知(環食化第46号)をもって食品としての流通が認められてきた(1)。
これらの化学的処理された加工デンプン11品目は諸外国において食品添加物として取り扱われてきたことから、国際的整合性を図るため(2)、2008年10月1日に食品添加物として新規指定された。
なお、デンプンリン酸エステルナトリウムについては、リン酸化デンプンと成分規格が一部重複し、近年、食品添加物としての使用実績もないことから2009年6月4日に食品添加物の収載リストから削除された(3)。表1に加工デンプンの現状を示す。