2009年の状況
タピオカでん粉を使用していたのは13社で、水産練製品、即席麺、スープ、菓子、調味料、ハム・ソーセージ、パン、接着剤、飼料などの製品分野で使用されている。
使用理由としては「食感改良」や、「ほかのでん粉と比べた場合の価格優位性」を示す声が多かった。タピオカでん粉は現在、食品に「もっちり」とした食感を与えることができ、かつコストも比較的安価であるため、麺製品などを中心に食品業界全体で使用率が高まってきているとの意見が得られた。
これら13社における2009年の仕入量の合計は6108トンで、前年比11.1%の増加となった。企業別では、仕入量が前年に比べて増加した企業は3社、前年並みだった企業は8社、減少した企業は3社であった。増加理由としては、「タピオカでん粉を使用する注力商品の販売が好調だった」、「デフレの影響でタピオカでん粉が使われている低価格帯商品の売り上げが好調だった」、「2009年にコスト削減のためにコーンスターチから切り替えた」などの理由が聞かれた。また、「食感向上のために製品中のタピオカでん粉の含有量を増やした」とする食品メーカーも見られた。減少理由としては、「商品の売れ行きによるもの」とする企業がほとんどであった。
仕入価格については、タイにおける害虫被害による減産見込みなどで2009年末から上昇傾向となっていることから、ほかのでん粉と比較した場合の価格優位性が薄れるのではないかとを不安視する声が多数であった。
また、タイの減産見込みや政情不安が、今後の数量確保に対する企業の不安を増幅させている。既に各企業は対応を検討し始めており、カントリーリスク回避のために、ベトナムなど、タイ以外の仕入先を増やす傾向がみられた。
今後の見通し
今後の仕入量に関しては、増加を見込む企業が4社、横ばいを見込む企業が8社、予測できないとする企業が2社となっており、減少を見込む企業は見られなかった。
増加予測の要因としては、「デフレ下では、タピオカでん粉を使った低価格商品の売上が期待できる」、「タピオカでん粉を使用した新製品を販売する予定である」、「現在消費者が求めている食感はコーンスターチよりもタピオカでん粉の方が近い」、「化工でん粉の添加物指定に伴って、タピオカでん粉への切り替えを検討している」などの声が聞かれた。
しかしながら、タピオカでん粉価格が高騰する中、価格次第ではほかのでん粉に切り替える可能性を示唆する企業もあるため、今回得られた見通しどおりとなるかどうかは不透明である。