今回調査した農家は、いずれも借地により規模拡大を行っている。これは機械化が可能になるなど効率化が進むことで、経営安定に大きな効果があると考える。鹿児島県としても「現行のかんしょ生産に係る労働時間を40%程度低減」することを目標としている。
借地に当たって、4戸は以下のことを行っている。
ア、所轄の農業委員会を通じて、手続きを進める。
イ、日頃から貸し手農家とのコミュニケーションを大切にする。
ウ、借地を適切に管理する。
エ、たい肥などで土壌を肥よくにしておく。
また、調査農家では借地に当たり、前作の不明な畑を中心にpHが上がりすぎないように、また過剰な窒素分によるつるボケ防止対策として、地域のJA、農業共済分析センター、県地域振興局等の指導の下、土壌診断を行っている。
一般的に、大規模化に伴い、機械化が必要と思われる。大きな投資を伴うが、労働力の削減、生産コストの低減が可能となる。調査農家が所有する農地はそのほとんどが大規模の基盤整備地区に包含されて、ほ場整備、畑地かんがい事業が実施(計画も含む)されており、機械の効率な活用が可能な地域である。
調査対象農家が機械導入に当たって、留意している事項は次の点である。
ア、機種決定の根拠
・区画の大きさ、形状、傾斜、土壌条件、生育状況、作業方法、オペレーターの技能を算定基礎にする。
・1日の作業面積は、1日当たりの作業時間と作業能力によって決める。
・車庫、格納庫からほ場までの距離、農道、路面、耕地の集積状況、準備時間なども考慮に入れる。
・高価な高性能機械の導入に当たっては、利用面積が確保され、かつ明確な経済効果が期待できることを条件としている。
イ、事前評価の実施
耐用年数や年間負担額などの経済性、信頼性、安全性、従来の作業方法と導入後の新技術との比較、汎用性などを評価の判断基準として十分な検討を行う。
こういった点に留意し、機械化を行うことで効率よい栽培が可能となると思われる。
このほかにも土地利用の合理化として、組織化といった方法も考えられる。
土作りについては、かんしょのいもづるを肥料として利用する場合もある。調査した農家のうち3戸は経営規模も大きく、収穫期間も2カ月と比較的短期間であるため、掘り取り作業を円滑に進めることを重視し、従来の茎葉処理機で裁断し、ほ場に還元している。ただし、残りの1戸は、鹿児島県農業開発センター大隅支場で開発され、実用化が進んでいる家畜飼料化システムプラントに、原料としていもづるを提供している。
ほかにも、かんしょ収穫後、緑肥作物を植える、冬期の農閑期に家畜のたい肥を譲り受け、それをすき込むといった例が見られた。たい肥はできるだけ早めの散布(1月中)に特に効果がある。このような例を参考にしながら、肥料費を抑えながら土作りを進めることができる。