ばれいしょでん粉は、ヨーロッパが最大の生産地域となっており、2009年の生産量は、117万トンと世界全体(161万トン)のうち約3/4を占めている。そのほかの地域では、アジアで38万トン、北アメリカで6万トンが生産されている。
2009年の消費量は、ヨーロッパ78万トン、アジア62万トン、北アメリカ15万トンとなった。EUにおけるばれいしょでん粉需要は景気後退から2009年に落ち込んだが、2010年には回復傾向にある。また、EU産ばれいしょでん粉価格は、2009年には需要減やばれいしょの豊作により前年から大きく下落したが、2010年後半に入って減産したタピオカでん粉の代替としてアジアからの引き合いが増加したことに加え、ばれいしょ生産の落ち込みに伴う供給減により上昇傾向にある。
2014年の消費量は、世界全体で、2009年比20.2%増の192万トンと予測される。この増加分31万トンのうち、約2/3がアジアでの需要増によるものと見込まれる。
EUは2008年、共通農業政策(CAP)の中間見直し(ヘルスチェック)において、ばれいしょでん粉関連政策を見直すことを決定した。これを受け、既に生産払戻金(域内産穀物利用に対する補助金)を廃止し、輸出補助金についても交付がなされていない。また、2012年度(10月〜翌9月)以降は、生産割当制度やばれいしょでん粉の最低保証価格制度などが廃止されることとなっている。
このため、2012年度以降のEUのばれいしょでん粉供給の見通しについては不透明な部分が多い。業界は安定的な販売先確保のため、域内向けとしては、ばれいしょでん粉を評価している製紙および食品向けに注力していくとみられる。また、輸出向けとしてはばれいしょでん粉の特性に着目した市場を狙うと予測される。