平成22年1月の説明会を受けて、各地域の関係機関などにおいて、特例農家の本則要件への移行に向けた取組の方向性を検討し、地域の実情に応じた推進を行いました。
ここでは、各地域での取組について紹介します。
【事例1】日置地域での取組
日置地域は、平成21年実績で特例農家の占める割合が約51%と高く、また、農家数の減少も続いていたことから、本則要件への移行は大きな課題となっていました。このため、説明会を受けて日置地域では地域の関係機関などによる検討を進め、本則要件への移行を推進しました。
○2/16、3/16 関係機関者などによる検討会を開催し、特例農家に対しては、(1)40a程度栽培している農家は、面積を50a以上に拡大(2)基幹作業をB−1、B−2農家に委託(3)共同利用組織への参加−を推進し、さらに、栽培農家の自然減については近隣の農家への農地集積を推進することなどを決定。
○3/26 JA甘しょ部会理事会での共同利用組織化への検討。
○4/5〜15 要件審査申請前の事前確認のため全農家を対象に説明会を開催し、併せて、特例農家に対しては、本則要件への移行対策を推進。
○5/18 JAさつま日置を単位として防除を行う共同利用組織を設立。北・中・南部の営農センターごとに防除班を編成し、防除計画に基づく防除を実施。
このような取組の結果、162人がB−3の本則要件に移行しました。
【事例2】南薩地域での取組
南薩地域は、県内有数のさつまいもの産地ですが、平成21年実績で特例農家の占める割合は約34%と県平均を上回り、対象者も739人と最も多く、本則要件への移行は大きな課題となっていました。このため、説明会を受けて南薩地域では関係機関などによる検討を進め、本則要件への移行を推進しました。
○2/8 地域さつまいも・でん粉対策協議会による検討会を開催し、各JAと工組系の各でん粉工場ごとに本則要件への移行を推進することで決定。
〔各JAでの取組〕
特例農家に対しては、B−1、B−2、B−4への移行を基本とし、これらへの移行が困難な農家を中心に「防除」を行う共同利用組織の組織化を推進。
○1〜4月 特例農家への説明会の開催。
○4/1 JAいぶすき、3/23 JA南さつまを単位として防除を行う共同利用組織を設立。各支所ごとに防除班を編成し、防除計画に基づく防除を実施。
このような取組の結果、JAいぶすきで68人、JA南さつまで51人がB−4の本則要件に移行しました。
〔工組系でん粉工場での取組〕
A社においては、特例農家に対して、自社の農業生産法人への基幹作業の委託を推進し、56人がB−4へ移行しました。
【その他の動き】
平成22年度の新規の申請者は764人となりましたが、このうちB−1が107人、B−2が518人となっています。この背景としては、焼酎原料用さつまいもの需要がピークを過ぎたことから、これまで焼酎工場にさつまいもを搬入していた生産者が作付けの一部をでん粉原料用に切り換えたケースが多かったことが挙げられます。
なお、独立行政法人農畜産業振興機構鹿児島事務所の調査によると、曽於地区の新規申請者200人のさつまいも作付面積235haのうち37ha(16%)がでん粉原料用さつまいもの作付面積となっており、一戸あたりでは、約1.2haの作付けのうち約0.2haがでん粉原料用となっています。